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昭和40年代ファン手帳 [読書・ノンフィクション]

昭和40年代ファン手帳 (中公新書ラクレ)

昭和40年代ファン手帳 (中公新書ラクレ)

  • 作者: 泉 麻人
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2014/06/09
  • メディア: 新書



昭和40年代の世相を伝える資料(主に新聞の縮刷版)を眺めながら
当時の代表的な出来事を、著者自身の回想を絡めつつ綴った
70編あまりのエッセイ集になっている。

著者の泉麻人氏は昭和31年(1956年)の生まれなので
昭和40年~49年は9歳から18歳。
小学校高学年から高校3年までの時代に相当する。

ちなみに、私は泉氏よりちょっと年下だが、まあ同世代と言っていい。
なので、本書に書かれていることもだいたい記憶にあるし
読んでいて「ああ、そうそう」「そういえばそうだったね」
という部分がたくさんあって、たいへん楽しかった。
特撮、マンガ、アニメ、ラジオの深夜放送、アイドルなど
サブカルチャーに関する話題もあって、そのあたりも嬉しい。

スゴいなあと思ったのは、引用している文献の中に、
著者本人の「日記」があること。
当時、学校の宿題で書かされていたらしいのだけど、
なかなか達者な文章を書いていて、文筆家としての片鱗を感じさせる。
まあ、そんな昔の日記をまだ持ってること自体もスゴいけど。

 私なんか、大学時代に書いたレポートだって残ってない。
 (実家の物置の奥とか探せばあるかも知れんが・・・)

ざっと項目を挙げてみる。
とても全部は上げられないので、年ごとにひとつずつ。

昭和40年「クレージーとキングギドラの正月」
昭和41年「ビートルズは台風4号に乗って」
昭和42年「新宿にフーテンがいた頃」
昭和43年「55号とマエタケ」
昭和44年「東大安田とりで」
昭和45年「三島由紀夫と鼻血ブー」
昭和46年「夏に来た南沙織」
昭和47年「角栄・パンダ・アグネス・チャン」
昭和48年「石油ショックと六本木の夜」
昭和49年「ユリ・ゲラーが時計を直した夜」

これだけでも、なかなか面白そうでしょ?

高度成長期の終わり近く、
石油ショックによる大不況の直前というわけで
良くも悪くも、日本に
いろんな意味で "元気" があった時代、なのかも知れない。


おまけなのか付録なのか分からないけど
巻末に、某政治家との対談が収録されている。

泉氏と高校の同級生だったという縁で対談が実現したらしいが
内容的にはあまり見るべきものはないかなあ・・・
当事者同士なら思い出話も面白いんだろうけどね。


余談だが、読んでいて思ったのは著者の泉氏と、私自身の境遇の差。

三田にある慶應義塾中等部から日吉の慶應高校へ進学。
自宅が新宿にあったせいか、友人たちと遊んだ場所として
都内の盛り場があちこち出てくる。

 中学生や高校生がそんなところで遊んでていいのか?
 って思った場所も。

北関東の片田舎に育って、野原の中を自転車で走り回って遊び、
最寄り駅は1時間に電車が3本という県立高校へ進んだ私。

ことさら泉氏の環境が羨ましいとは感じないが、
こういう場所で育った人にしか書けない文章ってのも
あるんだなあ・・・とは思った。


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