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赤に捧げる殺意 [読書・ミステリ]

赤に捧げる殺意 (角川文庫)

赤に捧げる殺意 (角川文庫)

  • 作者: 有栖川 有栖
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2013/02/23
  • メディア: 文庫



評価:★★★

純粋な新刊アンソロジーだと思って買ったんだけど、
巻末の初出を見ると、みんな以前に角川スニーカー文庫で出た
ミステリ・アンソロジー・シリーズからの再録だった(T_T)。

このシリーズ、全部読んでたはずなんだが・・・
ほとんど内容を忘れていたので無問題 (^_^)v だったよ。

いやはや、喜ぶべきなのか悲しむべきなのか・・・


「砕けた叫び」(有栖川有栖)
 先輩ミステリ作家・浅井小夜子と会食した有栖。
 火村の探偵ぶりが知りたい小夜子は、
 先月、彼が解決した事件の話をせがむ。
 私立探偵が殺され、ダイイングメッセージが残された事件。
 被害者が握っていたのは、ムンクの『叫び』をかたどった
 陶器製の人形の破片だった・・・
 相変わらず手堅い有栖川さんでした。

「トロイの密室」(折原一)
 黒星刑事シリーズのヒロイン・葉山虹子の活躍する一編。
 友人に招かれ、竹内刑事とともに赴いた秩父の奥地。
 そこに建つ土呂井家の屋敷で起こる密室殺人事件。
 折原一って好きじゃないんだけど、
 唯一、黒星刑事シリーズだけは読んでるんだよね。

「神影荘奇談」(太田忠司)
 中学生探偵・狩野俊介シリーズの一編。
 喫茶「紅梅」で野上と話していた俊介の前に、
 瀬戸と名乗る男が現れ、不思議な体験を話し出す・・・
 うーん、真相はいまひとつ説得力が無いような気も。
 狩野俊介シリーズって、いつの間にか刊行が止まってるけど
 完結してないよね?
 新しいシリーズをいくつも立ち上げてるけど、
 昔からのシリーズは絶賛放置プレイ中なんでしょうか。
 霞田兄妹シリーズとか、どうなってるんでしょうねぇ?

「命の恩人」(赤川次郎)
 4歳の娘・愛を連れて夫の実家へ向かう久美子。
 しかし、ちょっと目を離した隙に駅のホームから愛が転落。
 そのとき、一人の男性が愛を救い出す。
 名前も告げずに彼は立ち去ったが、
 残された名刺入れから素性が判明。
 礼を言うために男と再会した久美子だったが・・・
 ミステリと言うよりは昼メロみたいな展開。
 いや、昼メロって見てるわけじゃ無いし
 実際どんなもんかよく知らないんだけど、
 なんとなくそう思うんだ。うーん無責任。
 やっぱり赤川次郎は私と波長が合わないことを再確認。

「時計仕掛けの小鳥」(西澤保彦)
 高校1年生の奈々が、久しぶりに通りかかった<三好書店>。
 そこから甦る6年前の記憶。小学4年生の彼女が、
 友人達と示し合わせて学校をサボった日のことを。
 当時のことを回想する内に、
 奈々はその日の出来事の裏に隠された "真相" に
 気づいていくのだった・・・
 いやあ良くできてるとは思うけど良くできすぎている気も。
 出来が悪いとけなすし、良くても文句言う。性格悪いね私。

「タワーに死す」(霞流一)
 怪獣映画『クツルー来襲』を撮影中の、
 売れないアイドル・久里子とそのマネージャー・福寺。
 撮影の最中、特撮監督の横谷が殺される。
 その死体は、ミニチュアの東京タワーに突き刺さっていた。
 島田荘司ばりの殺害シーンが披露されるんだが、
 実際の光景を想像すると、お間抜けぶりに頬が緩んでしまう。
 さすがはバカミスの第一人者(褒めてます)。

「Aは安楽椅子のA」(鯨統一郎)
 両親を失ったヒロイン・堀アンナ。
 それに加えて聴力まで失ってしまった彼女だったが、
 彼女には他の人に柿超えないものが聞こえるようになる。
 それは "安楽椅子" の語る声だった・・・
 『安楽椅子そのものが探偵』って松尾由美の作品にあったよなあ。
 私の記憶では向こうの方が先のはず。
 鯨統一郎って「邪馬台国はどこですか?」がとても面白くて
 デビューからしばらくは読んでたんだけど、
 だんだん離れていってしまった作家さんなんだよなあ。

「氷山の一角」(麻耶雄嵩)
 "銘" 探偵・メルカトル鮎と、
 ミステリ作家・美袋三条の活躍する一編。
 若手お笑い芸人グループのメンバーが殺される。
 容疑者は残りのメンバー3人。
 なぜか美袋がメルカトルに扮し、残されたダイイングメッセージから
 犯人に迫ろうとするが・・・
 メルカトルの人の悪さも相変わらず。
 この "銘" 探偵も、91年のデビューだから、
 ずいぶん長いつきあいになってしまった。
 もっとも、デビュー作が「最後の事件」だから、
 これまでに発表された作品はすべて "デビュー作以前の話" のはず。
 考えてみれば不思議な設定ではあるなあ。


読み終わって考えたけど、どうしてタイトルが「赤に捧げる」なんだろ?
全作品に共通して赤いものが出てくるとかって訳でもないのにね。


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mojo

makimakiさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2015-06-06 20:46) 

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