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最後のトリック [読書・ミステリ]

最後のトリック (河出文庫)

最後のトリック (河出文庫)

  • 作者: 深水 黎一郎
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2014/10/07
  • メディア: 文庫



評価:★★★

「意外な真犯人」ってのはやっぱりミステリの醍醐味の一つだろう。
「モルグ街の殺人」もいい加減ぶっ飛んだが
やっぱりクリスティのアレとかコレとかが究極のソレだったなあ。

さて、そんな中で最後に残された「意外な真犯人」、
そして未だ誰も書いたことのないパターン。
それは「読者が犯人」っていうヤツ。

本書は作者のデビュー作「ウルチモ・トルッコ」を
大幅に加筆修正し、改題したものとのことだ。
ちなみに旧題はイタリア語で「究極のトリック」という意味らしい。

閑話休題。紹介に入ろう。


新聞連載のアイデアが浮かばずに苦しんでいたミステリ作家の「私」。
そこへ香坂誠一と名乗る人物から手紙が舞い込む。

「私は『読者が犯人』という不可能トリックのアイデアを持っている。
 ついては、これを2億円で買って欲しい。」

突然そんな提案を受けて困惑する「私」だが、
香坂からの手紙はその後も続々と届いてくる。
彼の生い立ちを語るかのような "手記" とともに。

メインのストーリーとは別に、さまざまなエピソードが挿入される。
ここではいちいち挙げないけれども
関係が無さそうに見えるこれらの諸々が、実に巧妙な伏線になっている。

中盤過ぎあたりで、「私」と香坂の間に
意外なつながりがあったことが明らかになり、ラストでは・・・


「読者」が小説の中の人物を "殺す" なんてことが可能なのか?
「読者が犯人」なんて "離れ業" が成立するのか?

まあ「大リーグボール2号」なみの "超変化球" なので、
この結末を評価するかしないかは、
人によって、あるいは好みによってけっこう分かれるだろう。

私は「良く考えついたなあ」とは思う。
発想は凄いし、それを作品化した努力は買うけど、
「好きか嫌いか」って聞かれたらちょい微妙かなあ・・・

でも、結末まで読んでも、
「裏切られた」ような気分にはならなかったので、
良くできている小説なのは間違いないだろう。
実際私は★3つをつけたし。

気になる方はぜひ読んでみてはいかがかと。


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mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2014-10-27 22:10) 

mojo

makimakiさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2014-10-28 21:10) 

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