SSブログ

幽世の薬剤師4 [読書・ファンタジー]


幽世の薬剤師4 (新潮文庫 こ 74-4)

幽世の薬剤師4 (新潮文庫 こ 74-4)

  • 作者: 紺野 天龍
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2023/06/26
  • メディア: 文庫

評価:★★★


 異世界・幽世(かくりよ)へ迷い込んでしまった空洞淵霧瑚(うろぶち・きりこ)は、薬剤師だった経歴を活かして薬処を開く。
 巫女・御巫綺翠(みかなぎ・きすい)とともに、幽世で起こる怪事件に立ち向かう、シリーズ4巻目。


 空洞淵が営む薬処〈伽藍堂〉(がらんどう)に祓い師・釈迦堂悟(しゃかどう・さとる)が訪れ、奇妙な話を語る。近頃、夜の街に〈死神〉が現れるのだという。

 〈死神〉は "人の魂を刈り取っている" らしい。被害に遭った者は "魂を抜かれたように" 意識を失い、死んだように眠ってしまうのだという。

 そして死神は、「日本刀を持った、髪の長い女性」の姿をしているらしい。それではまるで綺翠のようではないか?

 綺翠は空洞淵とともに夜廻りにでることに。そして〈死神〉に遭遇する。
 〈死神〉はたしかに綺翠によく似ていた。それどころではなく、綺翠の抱えた "秘密" のあれこれを知っているようだ。
 問答無用とばかりに斬りかかる綺翠だが、なんと返り討ちに遭ってしまう。
"魂を刈り取られた" 綺翠は深い昏睡状態へと陥るのだった。

 窮した空洞淵は、幽世の造物主たる金糸雀(カナリヤ)の元を訪れ、綺翠が自らの "破鬼の巫女" の資質について悩みを感じていたことを知る。さらに、〈死神〉の意外な正体を告げられる・・・


 毎回、ファンタジー世界の中での謎解きが描かれてきた。本書もその例に漏れないが、今までの巻よりはミステリ要素は薄めな感じ。
 その代わり、作品世界全体を通しての "謎解き" というか "事実の開示" が行われ、シリーズのターニングポイントに差し掛かった感がある。

 〈死神〉と綺翠との関係、300年前に幽世が誕生したときに、空虚淵の先祖がどう関わったのか。
 造物主である金糸雀に対し、その妹・月読は、いままで起こった様々な事件の黒幕的存在として描かれてきた。だがしかし、はたして金糸雀は "善" で、月読は "悪" なのか?
 次巻以降では物語の根幹に関わる2人の真意、あるいは思惑も描かれていくのだろう。

 そして何より、空虚淵と綺翠の関係がさらに深化したところで本書は終わるので、「次巻で完結」って云われても違和感がなさそう。
 さて、このシリーズはどうなるのでしょう?



nice!(5)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 5

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント