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猫色ケミストリー [読書・ファンタジー]


猫色ケミストリー (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

猫色ケミストリー (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

  • 作者: 喜多 喜久
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2013/05/10
  • メディア: 文庫
評価:★★★☆

計算科学を専攻する大学院生・菊池明斗(あきと)。
人付き合いが不得手だが、彼自身はそれでかまわない様子。
半年前、彼は学内で衰弱した猫を見つけ、
農学部棟裏の倉庫でこっそり飼いはじめた。

今ではすっかり元気になり、明斗と戯れるようになった。
そこへ通りかかったのは同級生の辻森スバル。
猫をきっかけに彼女と会話を始めた明斗だが、
コミュニケーション能力に難がある明斗は言葉選びに四苦八苦。

そこへ予期せぬゴロゴロという音が響き、そして突然の落雷が。

やがて意識を取り戻した2人の身には、驚きべき現象が。
明斗の意識はスバルの身体の中で目覚め、
ズバルの意識はなんと猫の中にあった。
どうやら "魂" が "移動" してしまったらしい・・・

では猫の "魂" は明斗の中? かと思ったが
明斗の肉体は意識を失って昏睡状態になってしまっていた。

 男女の意識が入れ替わる、なんてのはよくあるパターンではある。
 去年の「君の名は。」なんてまさにそうだったが
 本作は2012年の発表である。

男の意識が女の身体に入ってしまったわけで、
そのあたりでのお約束のドタバタシーンはしっかりとあります(笑)。
ちなみに人間の明斗と猫のスバルの間には
テレパシーがはたらくようで、意思の疎通は問題ない。

意識を失った明斗の身体は病院に収容され、
明斗はとりあえずスバルとして生活することに。
もちろん、スバルの "入った" 猫もいっしょに。

何とかもとの状態に戻す方法を探す2人だが、
スバルには差し迫った問題があった。
修士論文の締め切りが1ヶ月後に迫っており、
結果が出せなければ卒業させない、と担当教授から厳命されていたのだ。

彼女の専攻は有機化学。もちろん猫では実験は無理なので、
明斗がスバルとして研究室に入り、横にいる猫(スバル)から
指示を受けながら実験をすることに。

幸い、研究室のメンバーは猫を持ち込むことを快諾してくれた。
それはよかったものの、
実験室でキャットフードを食べたスバルの具合がおかしくなる。

そのことがきっかけで、2人はある疑いを持つ。
何者かが実験室で違法薬物の合成をしているのではないか?

そして、それを食べたスバルの症状から、
その薬物は2人の "入れ替わり" を解消できる可能性ももっていそうだ。

餌に薬物を混入したのは誰か? そしてその目的は?

おりしも入院中の明斗の身体は、バイタルサインが下降を始めており、
このままでは遠からず死亡することが明らかに。
それまでに、2人は犯人を見つけ出し、
そして元に戻ることはできるのか?


デビュー作「ラブ・ケミストリー」に続く第二作。
舞台は前作と同じ東大(たぶん)だが、
ストーリー的には全く関連はないので、本作から読んでも問題ない。

ミステリ要素は前作よりさらに薄いが、
ファンタジー仕立てのラブコメとしてはとてもおもしろい。

いままで全くといっていいほど接触のなかった2人が、
"魂" の入れ替わりをきっかけに
濃密な日々を過ごさざるを得なくなる。
想定外の事態に翻弄されっぱなしで、悩むばかりの明斗に対し、
スバルさんの明るさと思い切りの良さがストーリーを引っ張っていく。

ラストはコメディらしく、明るい未来を予感させるエンディング。
払った値段に見合うだけの、楽しい読書の時間を過ごせるだろう。

nice!(4)  コメント(4) 
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コメント 4

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2017-12-22 01:25) 

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2017-12-22 01:26) 

mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2017-12-22 01:26) 

mojo

サイトー、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2017-12-23 00:58) 

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