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三匹のおっさん ふたたび [読書・その他]

三匹のおっさん ふたたび (新潮文庫)

三匹のおっさん ふたたび (新潮文庫)

  • 作者: 有川 浩
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/01/28
  • メディア: 文庫



評価:★★★★

「三匹のおっさん」待望の(?)続編。

定年退職後、嘱託でゲーセンの経理を担当する剣道の達人・キヨ、
居酒屋経営を息子夫婦に任せて悠々自適の柔道家・シゲ、
町工場を経営しながら一人娘を育ててきたハイテク男・ノリ。

この三人にキヨの孫・祐希と
ノリの娘・早苗の高校生カップルが加わって
ご町内にはびこる悪を懲らしめていく・


巻頭にはイラストレーターの須藤真澄氏の
8ページに及ぶキャラ紹介漫画がついているので
前作から間が開いてしまった人も
すんなり作品世界に入っていけるだろう。


「第一話」
キヨの一人息子である健児の嫁・貴子。
精肉店でパート勤めを始めたがやることなすことドジばかり。
そんな中、パート仲間の育代と親しくなるが・・・

「第二話」
孫に絵本を買おうと『ブックスいわき』を訪れたシゲは、
子どもの万引きグループに遭遇する。
被害に苦しむ町の書店のために三匹が立ち上がる。

「第三話」
ノリのもとへ、妹の幹代が再婚話を持ってくる。
相手の満佐子は、かつて三人組の夜回りのおかげで
難を逃れたことがあった。
満更でもないノリの様子に、早苗は複雑な思いを抱く・・・

「第四話」
キヨがつとめるゲーセンの敷地に、ゴミを不法投棄する者が現れた。
中学生グループの仕業と踏んだ三人組は
祐希とともに張り込みをするが・・・

「第五話」
商店街の活性化のために神社の祭りの復活を思いついたのは
シゲの息子・康生。
しかし壊れた神輿の修理だけでも100万円かかるという。
商店会の若者らとともに、寄進集めに町内を奔走するのだが・・・

「第六話」
町内でぼや騒ぎが立て続けに起きたが、
なんと三匹とは別の "おっさん三人組" が現れ、
居丈高な態度で町内を練り歩く。
"偽物"たちの態度に不安を覚える三匹だったが・・・


前作では還暦三人組と孫世代の祐希・早苗が中心だったが
本書第一話ではキヨの息子夫婦(健児・貴子)、
第五話ではシゲの息子・康生と
彼らの子ども世代にもスポットを当てている。

祐希もますますいい男になってきたし、
早苗も祐希の母・貴子にすっかり気に入られて。
ノリさんは寂しいだろうが、彼にも
もう一花咲かせる将来が暗示されてるし。

前巻「三匹のおっさん」第一話は、
キヨが長年主宰してきた剣道教室を閉めるところから始まったが
本書「ふたたび」の最終話では、
剣道教室を再開するキヨを描いて終わる。
一周回ってすべてが丸く収まって、まさに大団円。

きれいに収まったのだけど、これで完結かと思うとやはり寂しい。
いつの日か、「三匹のおっさん Part.III」が読めることを期待したい。


ラブコメ&SF&ミリタリーから始まった作者だけど
いつの間に還暦のおじさんのたちの心意気と悲哀まで描くようになって
ホント引き出しの多い作家になってきたなあ。


巻末にはボーナストラック短編
「好きだよと言えずに初恋は」(って村下孝三かよ)
が収録されてる。
前巻第五話に登場した早苗の同級生・潤子の
小学校時代の思い出が綴られる。
読み終わった後、ちょっとネットを検索したら、
この短編に出てくる男の子は
長編「植物図鑑」にも登場しているとのこと。
これも手元にあるので、近々読む予定。


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