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日本SF短編50 Ⅴ [読書・SF]

日本SF短篇50 V: 日本SF作家クラブ創立50周年記念アンソロジー (ハヤカワ文庫 JA ニ 3-5)

日本SF短篇50 V: 日本SF作家クラブ創立50周年記念アンソロジー (ハヤカワ文庫 JA ニ 3-5)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2013/10/10
  • メディア: 文庫



評価:★★★

日本SF界50年にわたる、50人による、50作。その最終巻。
収録作品の年代は2003~2012年となり、
私にとっては40代半ば以降の時代になる。

公私ともに一段落がつき、精神的に余裕が出てきた頃・・・かなあ。
意地の悪い言い方をすれば、「人生の先が見えてきた」。

大きな事故や病気にさえならなければ、
定年までの人生がどんなものになりそうか予想できたし。
「出世してエラくなることはなかろう」とかね。

80年代末まではけっこう観ていたアニメも、
90年代に入ってからはめっきり観なくなった。
それが2000年代に入り、ぼちぼちレンタルやネット配信で
「失われた10年(笑)」を取り戻すようになった。


2003「重力の使命」(林譲治)
 ファースト・コンタクトものの一種かなあ。
 探査船バーレナン号の出会った "謎の球体" の正体や如何に。
 この人、SF作家と言うより架空戦記作家として有名みたい。
 SFは何作か読んだけど、たしかにハードSFではある。
 でも、堀晃みたいな "未知のものに対するワクワク感" が
 今ひとつ薄いような気がして・・・私のアタマが古いんですかね?

2004「日本改暦事情」(冲方丁)
 ご存じ冲方丁の名を、一気にメジャーに押し上げた
 「天地明察」のプロトタイプ短編。
 とはいっても長編のダイジェスト感はなく、
 これはこれで独立した短編として良くできている。
 ただこれがSFかと言われると正直頭を捻ってしまう。
 まあ「SF小説とは、SF作家が書いた小説のことだ」って
 有名な(?)言葉もあることだし。海外の人だったかな。
 私にとっては何と言っても「蒼穹のファフナー」の脚本家。
 奇しくも、この2004年がTVシリーズ第1作の放映開始だ。
 11年後の今年、TVシリーズ第2作である「EXODUS」も
 前半13話の放映が終わり、全話視聴したんだけど
 いやはやモノスゴイ密度と緊張感。ハイクオリティの作画と
 ワルシャワ・フィルの奏でる華麗なBGM、
 そしてangelaのすばらしい歌唱による主題歌/挿入歌。
 「文句の付け所のない」とはまさにこのこと。
 これについてもいつか記事に書きたいんだけどね・・・
 ちなみに後半13話は10月からの放映予定。ああ胃が痛い(笑)。

2005「ヴェネツィアの恋人」(高野史緖)
 パラレルワールドを舞台にしたファンタジックなSF。
 とはいうものの、よく分かりませんでした。ごめんなさい。
 SFプロパーな作家だと思ってたんだけど「カラマーゾフの妹」で
 江戸川乱歩賞を受賞したのも記憶に新しい。
 もっとも「-妹」も、随所にSFっぽさは漂ってたけどね。

2006「魚舟・獣舟」(上田早夕里)
 いろいろなアンソロジーに収録されてるみたいで、
 読んだ、というか本作が収録されてる本に当たったのは
 一度や二度ではない。まあそれだけ傑作なんだと思う。
 すみません。本作と同じ世界を舞台にした「華竜の宮」は
 まだ未読です。積ん読状態です。そのうち読みます。

2007「The Indifference Engine」(伊藤計劃)
 伊藤計劃ってものすごく評価されてる人で、
 いろんな人が絶賛してるんだけど、
 正直言って私にはよく分かりません。
 本作も、読んでるとだんだん気が滅入ってくるので・・・
 やっぱ波長が合わないんですかね。

2008「白鳥熱の朝(あした)に」(小川一水)
 新型インフルエンザによるパンデミックが起こり、
 大量の死者が出た後の世界で、残された人々の再生を描いた作品。
 小川一水はいいなあ。絶望の中にも希望が見える。
 個人的に、SFとは(もちろんそれがすべてではないけれど)
 「未来」や「希望」を描くジャンルだと思ってるので。

2009「自生の夢」(飛浩隆)
 この人も、私にとっては伊藤計劃と同じく
 「評価は高いかも知れないけど、私には分からない作品」を書く人。
 すみません。

2010「オルダーセンの世界」(山本弘)
 思想が統制された全体主義の世界(どこかの国を連想しそうだが)。
 たぶんこの世界は、我々の並行世界の一つ。というわけで、
 この世界の若い兵士と、他の世界から来た女との物語が展開する。
 この人は、現代のSF作家の中では最も好きな部類に入る。
 「神は沈黙せず」も良かったし「アイの物語」は泣かせるし。
 「地球移動作戦」にワクワクし「MM9シリーズ」は胸が熱くなる。

2011「人間の王 Most Beautiful Program」(宮内悠介)
 チェッカーの世界チャンピオン、マリオン・ティンズリー。
 そしてコンピュータによってチェッカーの最適解を導き出した
 アルバータ大学のシェーファー。
 チェッカーを巡る二人の物語は、ノンフィクションっぽく
 語られていくのだが、ラストで・・・
 本作&デビュー作を含む第一短編集『盤上の夜』で
 直木賞候補になるという途方もない新人作家の一編。
 本作だけでもその才能は窺える。
 ちなみに『盤上の夜』は文庫を買ったので本作は既読。
 次作も文庫になったら買う予定(^^;)。

2012「きみに読む物語」(瀬名秀明)
 デビュー作「パラサイト・イブ」は
 途中まではとても面白かったんだけど、
 ラスト近くのあるシーンまで来たら急速に読む気が失せてきて・・・
 って経験があるので、あまりいいイメージを持ってないんだなあ。
 それが、いつの間にか日本SF作家クラブの
 会長(2012年当時)に収まってたんだね。
 本作は・・・主役二人の関係がうまく読み取れなかったんだけど
 ラストまで読んだらなんとなく分かった気がする。
 基本はラブストーリーで、ハッピーエンドだったってことでOK?

最後は2012年。この年の4月、「宇宙戦艦ヤマト2199」発進。
私にとっての "至福の時間" が始まった。
奇しくも、私をSFにのめり込ませる原因となった作品が
この年に復活したのも、何かの巡り合わせですかね?


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mojo

makimakiさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2015-06-12 01:08) 

mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2015-06-15 21:55) 

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