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「最高学府はバカだらけ」 [読書・ノンフィクション]

最高学府はバカだらけ―全入時代の大学「崖っぷち」事情 (光文社新書 318)

最高学府はバカだらけ―全入時代の大学「崖っぷち」事情 (光文社新書 318)

  • 作者: 石渡 嶺司
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2007/09
  • メディア: 新書
評価:★★★★
 
大学進学率が5割を超え、受験生人口は減り続けているのに大学は増え続ける。
今春に至っては、ついに志願者の90%以上が大学へ入学したらしい。
事実上の「大学全入時代」なのだという。
 
この本は、そんな現代の大学に生息する「バカ学生」について書いた本だ。
 
第1章「アホ大学のバカ学生」では、
現代の学生の実態(これがまたあきれかえってしまうが)を描き、
 
第2章「バカ学生を生む犯人は誰か?」では、
高校・文科省・親・企業にその原因があるのか検証し、
 
第3章「バカ学生の生みの親はやはり大学?」では、
大学側に原因があるのかを探る。挙げられるのは
入試制度・大学の乱立・教職員の問題・広報不足etc。
 
第4章「大学の情報公開をめぐる二つの講演」は、
この本の白眉だと思う。
 
「受験生増進委員会」なる団体が主催した
「受験生集めに効果的な情報の隠し方」、
そして
「大学被害者友の会」なる団体が主催した
「大学にだまされない大学の選び方」。
 
「実際にあった講演を、転載許可を得て載せている」
と書いてあるが、読んでみてわかるが、
こんな過激な内容を転載許可するわけもなく
(たとえば「ニート・フリーターは大学の悪口を言う前に
 ネットカフェ難民になって過労死しろ」
 「大学業界に巣くう教職員は詐欺師そのもの」など)
これは明らかに、著者が取材した相手の「本音」を
「第三者の発言」という形で書いているものだと思う。
 
第5章「ジコチューな超難関大」では
東大・京大・早稲田・慶応を俎上に載せ、
第6章「崖っぷち大学サバイバル」では
その他大勢の大学の生き残り策を紹介する。
 
しかし「バカ学生」は、いつまでも「バカ学生」ではないらしい。
終章「バカ学生はバカ学生のままか?」では
一部のバカ学生は、”化学変化”を起こして
「バカ」から脱皮していくこともある、ということを述べている。
そのきっかけはさまざまで、
何とかその”化学変化”を起こそうと、
学生の面倒をよく見る大学の取り組みを紹介している。
 
とにかくおもしろい本だ。内容もおもしろいが、
各章の最後に「まとめ」というページがある。
これだけでも十分おもしろい。
もし本屋で見かけたら、この「まとめ」だけでも目を通してほしい。
買ってもっとよく読もうという気になる(かも)。
 
私がこの本から得た結論は、
大学に行ける経済的余裕があり、本人に(積極的ではないにしろ)
大学へ行って卒業しようとする意志があるのなら、行った方がいいということ。
一部の有名大・難関大でなくても、面倒見のいい大学に入れば
”化学変化”を起こして大きく成長する可能性もある。
そのためには、大学の情報をよく吟味して、選ぶ必要がある。
そして、この本はいい情報源の一つになるだろう。

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