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彼女は弊社の泥酔ヒロイン 三友商事怪魔企画室 [読書・SF]


彼女は弊社の泥酔ヒロイン―三友商事怪魔企画室―(新潮文庫nex)

彼女は弊社の泥酔ヒロイン―三友商事怪魔企画室―(新潮文庫nex)

  • 作者: 梶尾真治
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2020/03/06
評価:★★☆

 主人公・中田栄子は短大を卒業し、三友商事に入社した。それに伴い、実家を離れて従姉妹の飯塚美宇(みう)の家で暮らすことになった。

 飯塚家は一家でコンビニエンスストアを営んでいる。
 栄子の入社式の日、コンビニで働いていた美宇の前に現れたのは栄子の母・乙子(おつこ)だった。
 彼女は言う。働き出す前に、今一度栄子に念を押しておくべきことがあると。それは「絶対に酒を飲んではいけない」ということ。
 携帯電話恐怖症の乙子のために、栄子も携帯電話を持っていない。じかに会って伝えるしかない。

 その日は入社式に加え、夜には新入社員歓迎親睦会が開かれることになっていた。美宇は慌てて親睦会の会場に向かうが時遅し、すでに栄子は大きなコップに注がれたビールを一息に飲み干した後だった。

 栄子の体には、アルコールを摂取すると超人的な能力を発揮する特異体質が潜んでいたのだ。空こそ飛べないものの(笑)、プリキュアか戦隊ヒーロー並みの身体能力と、強大なパワーを発揮することができるようになるのだ。

 しかしそれは諸刃の剣でもあった。この世界の隣には、”異界” と呼ばれる世界がある。彼女の ”能力” の発動によって、”異界” から「怪魔」と呼ばれる化け物がこちらの世界へとやってくる ”扉” が開かれてしまったのだ。

 栄子の ”能力” は、彼女の一族が先祖代々受け継いできたものだった。
 さっそく出現した「怪魔」を超絶パワーで撃退したものの、「怪魔」はこれからも続々とやってくる。それも、彼女が開いた ”扉” の周辺、つまり三友商事や美羽のコンビニがある近隣の地区を中心に出没することに。

 会社を辞めようかと悩む栄子だったが、それを知った社長の御曹司・友田は、これを利用した新規ビジネスを立ち上げる。それは「怪魔」の襲撃から近隣地域の人々を護衛する、会員制の事業だった・・・


 魔法少女/スーパーヒロインオタクの美宇、浮世離れした友田、惚けたようですべてを知ってる祖父・山太郎。コメディタッチのキャラが多い一方、ずっと「怪魔」と戦い続けてきた母・乙子、そして、栄子の父の秘密など、シリアス要素もある。

 読んでいてどうにもノレないのは、このバランスの悪さなのかもしれない。もうちょっとどちらかに振り切った方が私の好みには合致するような気がする。
 つまらないわけではないのだけど、今ひとつ波長が合わない作品でした。



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