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推理は空から舞い降りる 浪速国際空港へようこそ [読書・ミステリ]


推理は空から舞い降りる 浪速国際空港へようこそ (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

推理は空から舞い降りる 浪速国際空港へようこそ (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

  • 作者: 喜多 喜久
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2018/05/08
  • メディア: 文庫
評価:★★★☆

主人公・藤宮つばさの叔母・真紀子は優秀な航空管制官だった。
しかし真紀子は病気で早世してしまう。
叔母に憧れていたつばさは、自らも管制官という職業に就く。

彼女が勤務する浪速国際空港で起こる、様々なトラブルとアクシデントに
同期の運航情報官・戸神大地とともに立ち向かう日々を描く。


「Flight 01 ウォックス・デイ」
つばさの管制指揮のもと、JAHN02便が着陸態勢に入る。
しかし、管制通信に突然「Go around!!(着陸をやり直せ!!)」という
音声が割り込む。JAHN02便の車輪が下りていなかったのだ。
管制室の中で、その命令を出した者はいない。
いったい誰の声だったのか・・・

「Flight 02 招かれざる侵入者たち」
航空機に重大な危険をもたらすバードストライク。
浪速国際空港周辺にもコアジサシが群棲していたが、
最近になってその飛来数が増加しつつあった。
そんなとき、つばさは空港の敷地内で正体不明の動物の影を目撃する。

「Flight 03 遭難信号は鳴りやまない」
管制指揮中のつばさの耳に飛び込んできたのは
121.5MHzの緊急周波数で発せられた、船舶遭難信号だった。
海上保安庁のヘリによる捜索が行われたが、何も見つからない。
しかしその後も、1日のうちの、ある時間帯だけに
遭難信号が発信されるという状況が続いていた。

「Flight 04 ライト・スタッフ」
来日していた南太平洋の島国・ムルカウ民主共和国の大統領は
浪速国際空港から大統領専用機で帰国することになっていた。
その離陸管制を行っていたつばさだが、専用機の挙動から
トラブル発生を感じ取り、離陸の中止を命令するが・・・


ミステリと銘打ってはあるけれど、描かれてる内容は
管制官の仕事ぶりや、空港で起こる大小様々なトラブルに対応する
職員たちの姿を描いた ”お仕事小説” になっている。

主人公であるつばさは、仕事を通じて ”あるもの” を探している。
それは彼女の憧れであり、仕事の先輩でもあった叔母・真紀子の残した
「管制官にいちばん必要なもの」という言葉の意味だ。
真紀子は「つばさはそれを持っている」とも言ってくれた。

「必要なもの」とは何なのか。教えてくれる前に叔母は逝ってしまった。
物語に並行して、つばさの ”探しもの” は続いていく。
最終話で彼女がたどり着いた答えとは・・・


作者は薬学研究者という出身から、薬学・化学・医学関係の作品が
多かったのだけど、最近はそれから離れた作品も多くなってきた。
だんだん引き出しを増やしていってるのだろう。

作品執筆のペースも速いし、いったいどんな生活をしてるんだろうね。

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