紙鑑定士の事件ファイル 紙とクイズと密室と [読書・ミステリ]
評価:★★★
新宿にオフィスを構える紙鑑定士・渡部のもとへ持ち込まれる事件を、持ち前の紙に関する博識とともに、特定分野に詳しい "仲間" たちの助けも借りて解決していく、ミステリ・シリーズ第三弾。
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「FILE:01 クイズと密室と紙と」
紙業界紙『月刊KAMI-ZINE』に掲載された、"紙人(かみじん)32面相クイズ" (賞金10万円)。これを解こうとしていた渡部(わたべ)は、友人の模型作家・土生井(はぶい)から奇妙な話を聞く。
彼の知人が経営する塾で、最近カンニング行為が起こっているという。小6生が7人いるクラスで、同じ問題に同じ間違いが書き込まれるようになってきた。それ以後万全の対策をとっているがカンニングは収まらない。いったいどんな方法が使われているのか・・・
オチで登場するアイテムは、昭和生まれにはなんとも懐かしい。そういえばこんなの、あったよねぇ。令和のこの時代ではどうなんだか知らないが・・・
「FILE:02 紙と密室とクイズと」
東京・埼玉・神奈川で、図書館の本の間にカミソリの刃が挟まれている、という事件が発生する。刃が貼り付けられた紙には「さわるときけん けがするで カミ人30面相」という文面が。
どうやら、渡部が営業に行っている出版社の社員が容疑者になっているらしい。独自に調査を始めた渡部は、犯人像を絞り込んでいくが・・・
犯人のやったことは許されることではないが、言い分には共感できる部分もあるなぁ。
「FILE:03 紙とクイズと密室と」
渡部は『月刊KAMI-ZINE』の "紙人32面相クイズ" の担当者・小牟田千果咲(こむた・ちかさ)から調査を依頼される。
三年前、彼女の姉は密室状態の自宅マンションで睡眠薬自殺を遂げていた。当時、彼女は既婚男性との不倫に悩んでいたのだという。姉の死が他殺だと信じる千果咲は、渡部に協力してほしいと云うが・・・
収録された三編、ミステリ的には独立しているが "紙人32面相クイズ" を介してつながりを持っている。特に「FILE:03」は、「FILE:02」の展開を受けての内容となっている。
今回、土生井をはじめ "助っ人たち" の出番はあまりなく、渡部は自分の足を使って集めた情報で推理していく。これはこれで面白いけど、特定分野に異常に詳しいキャラ、というのもとても魅力的なので、またそういうキャラに登場してほしいな。
恋人の真理子さんとの仲が進展するのかしないのかも気になる。続巻を待ちましょう。
タグ:国内ミステリ
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