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迷 まよう / 惑 まどう [読書・ミステリ]


迷 まよう (実業之日本社文庫)

迷 まよう (実業之日本社文庫)

  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2021/12/03
  • メディア: 文庫
惑 まどう (実業之日本社文庫)

惑 まどう (実業之日本社文庫)

  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2022/02/04

評価:★★★


 実力派女性作家集団「アミの会」によるアンソロジー二冊組。
 ゲストとして4人の男性作家が参加。

* * * * * * * * * *


『迷 まよう』


「未事故物件」(近藤史恵)
 東京のワンルームマンションで、初めての一人暮らしを始めた植野初美(うえの・はつみ)。しかし明け方の4時に天井から物音が。それは洗濯機を回す音で、しかも毎日続くようになった。紹介してくれた不動産屋に問い合わせたら、上の階は空き部屋だという・・・


「迷い家」(福田和代)
 へべれけに酔ったサラリーマン・塩尻敏行(しおじり・としゆき)は、自宅と間違えて他人の家に上がり込んでしまう。玄関のドアは開き、居間のテーブルには携帯用ガスコンロガセットされ、鍋料理がグツグツと。しかしなぜか住人の姿はない・・・


「沈みかけの船より、愛を込めて」(乙一)
 中学生の果穂の両親が離婚することになった。父母どちらと暮らすのかを考えている中、母がかなりの額の借金を(母方の)祖父に肩代わりしてもらっていたこと、父の再婚相手と思しき女性がストーカー被害に遭っていることを知る・・・


「置き去り」(松村比呂美)
 パート勤務していた会社からもらった慰労金で、念願の海外旅行にきた "私"。しかしジャングル・トレッキングの最中にツアーのバスに置き去りにされてしまう。通りかかった車のドライバーに助けを求めたら、逆にポシェットを奪われてしまい・・・


「迷い鏡」(篠田真由美)
 奈央(なお)が女子大のサークル仲間とともに旅行に来たのは、東北の田舎町にある洞島(どうしま)家の屋敷。そこでは50年前に男女二人が亡くなっており、さらに10年前には60代の女性が事故死し、その夫が自殺するという事件が起きていた・・・


「女の一生」(新津きよみ)
 『人の迷惑になるな』と言い聞かせられて育った "私"。その通りに生きてきたが、その半生はお世辞にも幸福とは言えなかった。夫との生活ではどん底を経験し、兄弟たちにも邪険にされた "私" が最後に選んだ道は・・・


「迷蝶」(柴田よしき)
 アンソロジー『沈黙の狂詩曲 精華編 Vol.2』で既読。
 還暦を過ぎ、カメラで蝶の写真を撮りはじめた孝太郎。趣味を通じて杉江という男と知りあうのだが・・・。二人の過去が明らかになるにつれて、”殺意” がうごめき始める。


「覆面作家」(大沢在昌)
 作家の "私" は、編集者から「柏木潤」という覆面作家のことを聞く。正体はかつて水商売の世界に身を置いていた女性で、夫は有名人だったが既に死別しているという。"私" はその話から、学生時代に友人だった男を思い出すが・・・


『惑 まどう』


「かもしれない」(大崎梢)
 短編集『もしかして ひょっとして』で既読。
 不動産会社の社員・昌幸と同期だった菅野は、2年前に不祥事を起こして長野県の工務店へ出向を命じられていた。あるきっかけから菅野のことを調べ直した昌幸は、女性がらみの意外な事情が潜んでいたことを知る・・・


「砂糖壺は空っぽ」(加納朋子)
 連作短編集『カーテンコール!』で既読。
 この話はネタバレなしに紹介するのが難しい。ある種の ”ボーイ・ミーツ・ガール” の話ではある、とだけ書いておこう。


「惑星Xからの侵略」(松雄由美)
 中学二年生の宮原尚人(みやはら・なおと)は、近所に住む小学三年生のトクヤから相談を受ける。宇宙人から電話が掛かってきて木曜の晩に会いたいという。トクヤと一緒に待ち合わせ場所に来た尚人が見たのは、全身銀色の服を身につけた若い女の子だった・・・


「迷探偵誕生」(法月綸太郎)
 殺人事件をスピード解決した探偵・多岐川深青(たきがわ・みさお)。しかし彼のもとに新聞記者・土屋(つちや)めぐみがやってきて、重箱の隅をつつくように多岐川の推理の穴をつつき始める。その最中、多岐川は突然意識を失ってしまい、目覚めた時には・・・


「ヘンゼルと魔女/赤い椀/喫茶マヨイガ」(光原百合)
 ○『ヘンゼルとグレーテル』は実はこんな話だった? ○山菜採りに出かけた女がマヨイガ(迷い家)に出くわし、不思議な赤い椀を持ち帰るが ○瀬戸内に面した潮ノ道旧市街を、あてもなく歩いていた "私" は「喫茶 マヨイガ」という店を見つける・・・


「最後の望み」(矢崎在美)
 病院で死期を迎えようとしていた倉石悦司(くらいし・えつじ)の前に死神が現れた。最後にひとつだけ望みを叶えるという。悦司の願いは「娘の自殺を止めたい」。彼の娘・理佳子(りかこ)は20年前に難病を苦に自殺していたのだ・・・


「太陽と月が星になる」(永嶋恵美)
 主人公は月妃(つきひ)という名の少女。父が再婚し、異母妹の陽鞠(ひまり)が生まれた。継母が嫌いだった月妃は、4歳の年齢差を利用して妹を徹底的に支配し、"ダメ人間" へ育て上げようとする。その目論見は成功するのだが・・・


「内助」(今野敏)
 竜崎冴子(りゅうざき・さえこ)の夫・伸也(しんや)は大森署の署長。仕事人間の夫のために、一人で一家を切り盛りしてきた。ある夜、夫の管内で火災が起こり死体が発見される。ニュースのアナウンスを聞いて "デジャヴ" を覚えた冴子は、一人で調べ始めるが・・・


 ミステリ中心だが、バラエティに富んだアンソロジー。
「置き去り」は展開のうまさが光る。
「迷い鏡」は膨らませれば長編になりそうな密度。
「女の一生」は哀しいなぁ。
「惑星X-」は後日談希望。
「最後の-」はなかなかの感動もの。
「太陽と-」はホラーだ。



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