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四畳半タイムマシンブルース [アニメーション]


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 森見登美彦による小説『四畳半神話大系』のキャラと、上田誠の戯曲『サマータイムマシン・ブルース』のコラボレーション作品であるとのこと。

 『四畳半神話大系』は未読なんだけど、『夜は短し歩けよ乙女』『【新釈】走れメロス』『有頂天家族』は読んでるので、なんとなく雰囲気の見当はついてた。

  ちなみに『四畳半神話大系』は2010年にTVアニメになっていて(これも未見)、今作でも声優さんは同じ方が出演されてるらしい。だけど本作は『-大系』の続編ではなくて、パラレルワールドという位置づけみたいだ。

 キャラデザインや背景の絵柄が、強烈というか超個性的(笑)なので、好き嫌いはあると思う。私も最初はかなり抵抗があったけど、観ているうちに少しは慣れてきたかな。
 好きな絵柄か? って聞かれたら、素直に「はい」とは言いづらいけど、映画自体は楽しく観られましたよ。


 まずは内容紹介。


 主人公の「私」は、京都のとある大学の三回生。
 おんぼろアパート「下鴨幽水荘」で、1年後輩の明石さんに密かに思いを寄せつつも、無為な青春を送っている。
 「私」が住む209号室には、なぜかそこにだけクーラーが設置されており、猛暑の夏には住人たちのオアシスともなっていた。
 しかし8月のある日、その唯一のエアコンが動かなくなった。住人たちが騒いでいる時にコーラがかかって故障してしまったのだ。
 そこに見知らぬ青年が現れた。”田村” と名乗った彼は、25年後の未来からタイムマシンに乗ってやってきたのだという。
 「私」は、彼のタイムマシンで昨日に戻り、壊れる前のリモコンを持ってくることを思いつく。ところが、タイムマシンに乗り込んだ住人たちが、リモコンを持ってくるだけにとどまらず勝手気ままに過去を改変しようとする。
 さらに、「私」と明石さんは過去の改変によって自分たちの存在する世界が消滅する可能性に思い至る。
 かくして、タイムパラドックス回避のためのドタバタ騒ぎが始まる・・・


 冒頭から「私」によるマシンガンのようなナレーションが始まり、その長さと速さに驚かされる。キャラたちの台詞もそれぞれユニーク極まりないが、このへんはアニメ版『-大系』を見ている人には先刻ご承知なのでしょう。

 1日前に戻って、エアコンのリモコンを持ってくるだけ、というシンプルな出だしから、予想外の事態が連続するスラップスティック・コメディへと変貌していく。
 その原因の大半は、エキセントリックな住人たちの奇行によるもの。よくここまで奇人変人が集まってるものだと感心する。

 基本はドタバタ喜劇で、楽しく見ていられる。途中で何か所か辻褄が合わないところが出てくるが、これこそタイムトラベルものの醍醐味(笑)。ラストまでには、きっちり帳尻が合うようになっていて、このあたりはとてもよくできていると思う。まあ、ひとつだけ疑問を覚えたところもあったのだけど、それを言うと野暮かな・・・。
 謎の青年・”田村” の正体も、なんとなく見当がつくのだが、これは観てのお楽しみだろう。


 見ていると、自分自身の大学時代をちょっぴり思い出してしまった。
 私は実家通いだったのでアパート暮らしの経験はない。それ自体に不満があったわけではないけれど、こんな学生生活も楽しかったんじゃないかと思う。

 演じているのは、みんな本業の声優さんで、ベテランで達者な方ばかり。そのあたりも安心して観ていられる。

 中でも、声優の坂本真綾さん演じる「明石さん」はなかなか魅力的。映画製作に情熱を傾け、古本市を愛する。融通が利かなそうな雰囲気をまといつつ、天然ボケな一面もあったり。学生時代、彼女みたいな人がひとりでも周囲にいてくれれば、恋愛云々は別として、もう少し華やかな学生時代が送れたんじゃないかなぁ、って思ったり(遠い目)。
 終わってみれば、明石さんばっかり見ていたような気もする(おいおい)。


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