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記憶の中の誘拐 赤い博物館 [読書・ミステリ]


記憶の中の誘拐 赤い博物館 (文春文庫)

記憶の中の誘拐 赤い博物館 (文春文庫)

  • 作者: 大山 誠一郎
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2022/01/04
評価:★★★★

 警視庁捜査一課の刑事・寺田聡(さとし)が左遷されてきたのは、東京・三鷹市にある警視庁付属犯罪資料館、通称『赤い博物館』と呼ばれている施設だった。

 そこは、発生から一定期間が経過した事件の資料を保管する倉庫。
 館長を務めているのは緋色冴子(ひいろ・さえこ)警視。キャリア組のはずなのに、なぜかここの館長を8年間も務めているという謎の人物だった。

 資料整理に明け暮れる寺田だが、時折、冴子から過去の事件の再捜査を命じられる。その結果、時の彼方に消えたはずの事件の、意外な真相が明らかになっていく・・・というシリーズの第2巻。


「夕暮れの屋上で」
 1991年3月。高校の卒業式の前日、校舎の屋上で女子生徒が死亡する。
 その直前、教室の清掃に入っていた業者が屋上で話す被害者の声を耳にしていた。その内容から、警察は美術部の男子生徒3人に容疑を絞るのだが決め手はなく、事件は未解決に・・・
 なんとなく「こうじゃないかなぁ」って見当をつけたけど、それを上回る意外な結末でした。

「連火」
 1990年8月から10月まで起こった連続放火事件。
 犯人は火を放った後、その家の住人に電話をかけて逃げるように伝えるという謎の行動を繰り返していた。
 どうやら犯人は、火災現場に現れる ”ある人” に会うために放火を繰り返しているらしいのだが・・・
 犯人も意外だが、”ある人” の正体もまた意表を突くもの。

「死を十で割る」
 1999年3月23日の朝。荒川の河川敷でバラバラ死体が発見された。
 被害者は40歳のサラリーマンで、死亡推定時刻は前日の22日午前10時から正午。被害者の妻は22日の午前10時半に鉄道に飛び込んで自殺を遂げていた。さらに、死体の遺棄は22日の夜から翌朝の間の行われたものと思われた。
 死体は10の部位に切断されていた。死体切断の理由は運搬のためが大半だが、被害者の手足はそれぞれ2つに細断されているものの、胴体はそのまま。一番大きく重い胴体をそのままにしていたのはなぜか・・・
 不可解な遺体切断の理由は納得のいくものだが、そうせざるを得なかった理由がそのまま犯人指摘に結びつくあたり、とてもよく出来た細工物を見るようだ。

「孤独な容疑者」
 1990年3月、32歳の会社員が殺害された。被害者は同僚や上司相手に高利貸しのようなことをしており、借金の返済に苦しんで恨みを抱く者は多数に上ると思われた。
 ストーリーは犯人の一人称による ”倒叙形式” で始まるのだが、もうこの段階で作者の仕掛けは始まっていて、ラストに至ると見事な背負い投げを食らってしまった。なんとも油断のならない作品だ。

「記憶の中の誘拐」
 1988年8月、医師の子で当時5歳の男児が誘拐される事件が発生した。
 犯人は身代金の受け渡しに、両親である医師夫妻を指名する。電話でさんざん2人を引っ張り回す犯人だったが、なぜか途中で身代金の受け取りを放棄し、男児は解放された。
 警察の捜査は、男児の ”生みの母” が犯人だったことを突き止める。男児は医師夫妻の養子だったのだ・・・。
 誘拐事件の背後に隠された ”二人の母” の愛が哀しい。そして、かつての男児は成長し、現在は養父の後を継いで医師となっている。ラストシーンで彼の示す優しさが胸を打つ。


 巻末の解説によると、このシリーズはTVドラマになっている。主演は松下由樹さん。彼女に恨みはないけれど、ちょっとイメージが合わないかなぁ。
 作中の緋色冴子さんは、”雪女を思わせるようなクールビューティ” として描かれてる。松下さんとはちょっとキャラ違いのような。

 じゃあ誰がいいかと考えてみた。とはいっても、40代の女優さんなんてあまり知らないし。
 そんななか、思いついたのは仲間由紀恵さん。でも、20代の頃と違って現在はちょっと太めかなぁ(失礼!)  やっぱりダメかしら?(笑)



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