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横濱エトランゼ [読書・ミステリ]


横濱エトランゼ (講談社文庫)

横濱エトランゼ (講談社文庫)

  • 作者: 大崎梢
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2020/03/13
評価:★★★

 主人公・千紗(ちさ)は女子高生。3年生の秋を迎え、推薦入試で大学も決まったことを機にアルバイトを始めた。

 バイト先は〈横浜タウン社〉。週一で無料のタウン誌を発行している小所帯の出版社だ。しかし編集長を兼ねていた社長が急病で入院、長期の療養を命じられてしまう。

 急遽、編集長代理となったのは小谷善正(こたに・よしまさ)。なんと入社三年目の25歳だ。
 千紗がこの会社をバイト先に選んだのは、実は幼い頃からよく知っていた善正(彼の家は千紗の家の隣の隣)に仄かな好意を抱いていたからだった。
 ・・・というわけで、タウン誌の編集部で働くことになった千紗が出会う、横浜の街にまつわる謎を描く ”日常の謎” 系ミステリの連作集だ。


「元町ロンリネス」
 千紗は洋装店のマダムから、かつて夫とともに ”元町百段” という大階段を昇ったという話を聞く。しかし善正によると、その階段はマダムが生まれる前に関東大震災で崩壊し、現存していないのだという・・・

「山手ラビリンス」
 読者からの投書によると、”横浜山手 洋館七不思議” なるものがあるという。千紗はビストロ・ランタンのシェフに七不思議について尋ねるが、なぜか彼は狼狽えてしまう・・・

「根岸メモリーズ」
 千紗はクラスメイトの菜々美から相談を受ける。彼女の曾祖父・喜助は生前、「自分は外国の生まれだ」と言っていたという。
 しかし彼をよく知る親類によれば、日本生まれに間違いない。喜助が生まれたのは大正元年。その頃、横浜の中に ”外国” があったのだろうか・・・

「関内キング」
 〈横浜タウン社〉の大口広告主であり、コラムの執筆者でもある寿々川氏が突然、会社に対して今後の付き合いを一切やめると宣告してきた。千紗は寿々川氏が書いたコラムに登場する ”ある女性” について調べ始めるが・・・

「馬車道セレナーデ」
 千紗の母方の従姉妹・恵里香がアメリカから帰ってきた。彼女は善正とは高校の同級生だった。そして善正は恵里香に好意を抱いていたらしい。
 恵里香と再会することで、善正の思いが再燃してしまうのではないか? いや、そもそも彼はずっと恵里香を思い続けていたのではないか?
 千紗は心穏やかでない日々を過ごすことに・・・


 ラストでは千紗、善正、恵里香の、それぞれの ”新たな道” が描かれるのだけど・・・短編でもいいから、数年後の3人の様子が知りたいなぁ・・・



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