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虚像のアラベスク [読書・ミステリ]


虚像のアラベスク (角川文庫)

虚像のアラベスク (角川文庫)

  • 作者: 深水 黎一郎
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2021/05/21
  • メディア: 文庫
評価:★★★☆

 芸術探偵・神泉寺瞬一郎(しんせんじ・しゅんいちろう)が登場する中編ミステリ2作を収録している。


「ドンキホーテ・アラベスク」
 パリの国立バレエ団で活躍した烏丸大也(からすまる・ひろや)は、30代を迎えて帰国し、烏丸バレエ団を設立した。現在、団は創立15周年を迎え、記念公演『ドンキホーテ』を来週に控えていた。
 そこへ脅迫状が舞い込む。「公演を中止しなければ、舞台上でとんでもないことが起こる」と。
 しかしこの記念公演は、来日する欧州委員会委員長マルグリット・シャンパルティエ女史が鑑賞に訪れることが決まっており、今更中止なんてとんでもないことだった。
 女史の警護に当たることになった警視庁の海埜(うんの)警部補は、甥の神泉寺瞬一郎に協力を仰ぎ、バレエ団の内情調査を始めるのだが・・・
 序盤からバレエの専門用語が頻出して混乱するのだけど、〈芸術探偵シリーズ〉ではこういう感じの ”蘊蓄の披露” は毎度のことなので、軽く読み流しても大丈夫(おいおい)。
 ラストまでいくと、ミステリではあるけどけっこう ”いい話” になっていて、読後感は清々しい。


「グラン・パ・ド・ドゥ」
 これについては紹介が難しい。何を書いてもネタバレになりそう。とにかく読んでくださいとしか言いようがない話。
 でも、私は冒頭部分をちょっと読んだら、作者が何をしたいと思ってるのか分かっちゃいましたが(笑)。



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