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短編ミステリの二百年2 [読書・ミステリ]


短編ミステリの二百年2 (創元推理文庫)

短編ミステリの二百年2 (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2020/03/19
  • メディア: 文庫
評価:★★★

 短編ミステリの歴史を俯瞰するアンソロジー、全6巻の2巻目。

 本書には11編を収録。


「挑戦」(バッド・シュールバーグ)[1949]
 商業画家のポールは、水上スキーをしていた女性・ジェリーに一目惚れしてしまう。彼女に付き合ってカジノへ行ったり、深夜にキューバ料理店へ行ったり。そしてある日、彼女から夜の海へ泳ぎに行こうと誘われるのだが・・・

「プライドの問題」(クリストファー・ラ・ファージ)[1940]
 銀行役員のジョーは、1週間後が釣りの解禁日なのを知り、友人のエディとともにディア川へ出かける約束をする。しかしその日は、メドフォードとの会食の約束が入っていた。彼はディア川を所有する組合のトップだったのだが・・・

「チャーリー」(ラッセル・マロニー)[1936]
 チャーリーは、人を揶揄うことが大好きだ。そんな彼が大がかりな悪ふざけを思いつき、実行したのだが・・・

「クッフィニャル島の略奪」(ダシール・ハメット)[1925]
  サンフランシスコ湾の北部にあるクッフィニャル島は富豪がすむ島。ある夜、そこに強盗団が襲来する。仕事で訪れていた探偵 ”オプ” は銃声が響く中、外へ飛び出していくが・・・

「ミストラル」(ラウール・ホイットフィールド)[1931]
 主人公の ”おれ” は探偵社の社員。イタリアのレストランで奇妙な男を見つけ、行動を共にすることに。時を同じくして探偵社から連絡が入る。ある男の居所を調べろという。その男こそ、”おれ” が一緒にいる男だった・・・

「待っている」(レイモンド・チャンドラー)[1939]
 ホテルに雇われた探偵トニーは、深夜、宿泊客のミス・クレッシーに声をかける。彼女はジョニーという男を待っているのだが、ギャングのアルもまた彼を待っていた。ジョニーは組織の金を持ち逃げしたと見なされていたのだ・・・

「死のストライキ」(フランク・グルーバー)[1938]
 敏腕セールスマンのオリヴァーは、工場で辞書を売り込んでいた。しかし突然ベルが鳴り響き、従業員たちはストライキに入ってしまう。出入り口も閉鎖されてしまうが、その工場内で銃殺された死体が見つかる・・・

「探偵が多すぎる」(レックス・スタウト)[1956]
 探偵ネロ・ウルフと助手のアーチー、さらに5人の探偵が州務長官に呼び出された。しかし、集められた建物の一室で死体が発見される。探偵たちは皆、遺体の人物から盗聴の依頼を受けていたという共通点があった・・・

「真紅の文字」(マージェリー・アリンガム)[1938]
 探偵アルバート・キャンピオンは、友人ランスとともにかつて暮らしていた建物を訪れる。しかし空き家だったはずの部屋のクローゼットの壁には、真紅の文字で ”外に出して” と綴られていた・・・

「闇の一撃」(エドマンド・クリスピン)[1952]
 ジョシュアはヴァシティという女性に求愛中だ。しかしそこにペンジという恋敵が現れた。そしてジョシュアの姉・シスリーはペンジに好意を抱いているらしい。この四角関係(!)の中、ジョシュアが銃で殺されてしまう・・・

「二重像」(ロイ・ヴィカーズ)[1954]
 エルサは夫のジュリアンにそっくりな男を度々見かけるようになった。それは自分ではないと否定する夫。しかしジュリアンの言動には少しづつ不審なものが混じり始める。夫は、実は偽物ではないのかと疑い始めるエルサだが・・・


 前巻よりはぐっとミステリ度はアップしたかな。

 「死の-」「探偵が-」「真紅のー」「闇の-」はよく出来たミステリ。ここに「クッフィニャル島-」を入れてもいいかな。とくに「探偵が-」は出色の出来。文庫で約90ページと、本書の中でも最長だけど、小説としても面白い。

 「ミストラル」「待っている」「二重像」もよくできたサスペンス。

 「チャーリー」はショートショートという感じ。

 「挑戦」「プライド-」は・・・何だろう。
 このへんになると、編者の方の ”ミステリ” の定義がよく分からなくなってくる(笑)。



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