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ハンターキラー 東京核攻撃 [読書・冒険/サスペンス]


ハンターキラー 東京核攻撃 上 (ハヤカワ文庫NV)

ハンターキラー 東京核攻撃 上 (ハヤカワ文庫NV)

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2021/10/19
ハンターキラー 東京核攻撃 下 (ハヤカワ文庫NV)

ハンターキラー 東京核攻撃 下 (ハヤカワ文庫NV)

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2021/10/19
評価:★★☆

 2019年に公開された映画『ハンターキラー 潜航せよ』。原作小説はシリーズになっていて、映画になったのはその第2作だった。
 第1作も翻訳され、『ハンターキラー 最後の任務』と題されて刊行された。そして本作はシリーズ3作目ということになる。


 まずは、本書に登場する悪役から紹介しよう。

 フィリピンを根拠地にするイスラム武装組織の首領ウリザム。彼の野望は、東南アジア一帯にイスラム統一国家を樹立しようというもの。
 そのためには周辺諸国を武力で従わせる必要がある。それには世界有数の大都市を壊滅させればいいと考え、標的に選ばれたのが東京。

 物語の中では、かなりストーリーが進行したあとで標的が明かされるのだけど、タイトルで堂々と『東京核攻撃』って盛大にネタバレしちゃってる(笑)。

 東京を壊滅させるためには核兵器を手に入れる必要がある。そこでウリザムが接触したのが北朝鮮の実力者・金大長(キム・ダイジャン)大将。彼は闇ルートを通じてロシアから核弾頭を装備した魚雷2発を手に入れる。

 ところが金大将はそのうち1発をちょろまかし、贋物と入れ替えてしまう。ウリザムには本物と偽物を1発ずつ渡し、手元に残った1発は自分の野望のために使うことにしたのだ。

 金大将の野望は、世界を核戦争による大混乱に巻き込み、その隙に韓国に侵攻、朝鮮半島を統一して、ついでに北朝鮮の現指導者も追放して、自分が最高権力者に成り代わろうというもの。

 ロシアの核弾頭が行方不明になったことはアメリカ情報部の知るところとなり、横須賀基地に前線司令部を設置する。
 そこに招集されたのが前作で活躍したジョン・ワード。今作では潜水艦部隊指令官へ昇進し、艦からは下りている。
 そしてもう一人、ビル・ビーマン。海軍特殊部隊SEALの ”チーム3” の司令となり、こちらも現場を離れている。

 SEALの ”チーム3” は、新たな新人指揮官・ウォーカー中尉の指揮の下、北朝鮮への潜入と核兵器の発見及び破壊を目論むが・・・


 前作もそうだったが、本作も多視点から描かれていく。

 横須賀司令部、SEAL、北朝鮮、イスラム組織はもちろんだが、さらに今回はジョン・ワードの家族もメインキャラとなる。
 ジョンの妻・エレンは植物学者で、学生を連れてタイの山中に入るのだが、そこで意外なトラブルに遭遇してしまう。
 夫妻の息子・ジムは、少尉候補生としてロサンゼルス級原子力潜水艦〈コーパスクリスティ〉に乗り込む。

 前作に登場した麻薬王・随海俊(スイ・カイシュン)、その娘で、父と袂を分かった(というか勘当された?)娘・随暁舜(スイ・ギョウシュン)も登場し、骨肉の争いを繰り広げる。
 ワード夫妻の学生時代からの親友で、前作の後にJDIA(国際共同麻薬禁止局)局長代理へと昇進したジム・キンケイドも随親子を追い続ける。

 ところで、文庫本の表紙には潜水艦の写真が堂々と使われているのだけど、本作での潜水艦シーンは実は多くない。

 後半に入り、原潜〈コーパスクリスティ〉が麻薬組織に乗っ取られ、核魚雷を装填した後、東京へ向けて進路をとる。ジムは生命の危機にさらされながらも、反撃の機会を窺うことになる。

 とはいうものの、全編を通じてイスラム組織の暗躍や、北朝鮮の所有する核弾頭の追跡劇や、麻薬がらみの内ゲバ的な戦いなど陸上の話が多くて、なかなか海の話にならない。

 終盤のアクション・シーンに至って、やっと潜水艦の話らしくなる。
 このシリーズ、巻を追うに従って ”潜水艦成分” が減ってるような気がするのは、私だけではあるまい。

 それにしてもアメリカ海軍さん、浮上航行している原潜って、こんなに簡単に乗っ取られてしまうものなのでしょうか・・・?
 ていうか、簡単に乗っ取られるようじゃマズいんじゃないですかね? 
 まあ、フィクションの世界だから、ってことなんだろうけど・・・



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