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レディ・ヴィクトリア ローズの秘密のノートから [読書・ミステリ]


レディ・ヴィクトリア ローズの秘密のノートから (講談社タイガ)

レディ・ヴィクトリア ローズの秘密のノートから (講談社タイガ)

  • 作者: 篠田 真由美
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2020/02/21
  • メディア: 文庫

評価:★★★

舞台は19世紀のロンドン。ヴィクトリア朝の時代。

女王陛下と同名の貴婦人・ヴィクトリアと、
人種も国籍も様々で、型破りで個性的な使用人たちで構成された
“チーム・ヴィクトリア” のメンバーが
ロンドンに起こる謎の事件に立ち向かう、冒険探偵譚、第5作。

七章立てになっているけど、内容は中編3作。
巻末のあとがきによると、長編になり得る素材を
中編に落とし込んだのだという。

「第一章 鍵のかかる小さな部屋」
「第二章 青い柳模様の皿」
「第三章 奪われていたもの、見出されたもの」
ヴィクトリアは、美術商ホワイトリーを呼び、ある依頼をする。
亡き夫・シーモア子爵が残した写真に写っていた壺を探して欲しいと。
しかしその夜、ホワイトリーはヴィクトリアの住まいに忍び込む・・・
柳模様の皿を巡って、26年前の北京で起こった事件の真相と、
ヴィクトリアの使用人・リュンの出自が明らかに。
序盤のヴィクトリアとホワイトリーの会話がやたら長いのは
その中で背景説明をするためだろうなあ。

「第四章 あなたの顔をした死神」
「第五章 仮面とヴェールの陰に」
クレイギヴァ公爵夫人は、当時としては ”進歩的” な
女性専用の社交倶楽部に出資していた。
遠縁の娘で孤児だったエディスを引き取って養育していたが
近年、女子教育に門戸を開いてきたエディンバラ大学に働きかけ、
彼女を医学部に入学させる許可を得たところだった。
その公爵夫人からヴィクトリアに相談があるという。
倶楽部の中に、そこにいないはずの公爵夫人そっくりの女性が現れると
使用人たちが騒いでいるという。公爵夫人は、それは
スコットランド伝承の死神(バンシー)ではないかと恐れていた・・・

「第六章 生首を抱くサロメ」
「第七章 華麗なる仮面舞踏会」
ヴィクトリアの元を、亡き夫・シーモア子爵の
息子トマスの妻、オーガスタが訪れる。
シーモア子爵との再婚を巡って、折り合いの悪い、
というか不倶戴天の敵と目されていた相手からの突然の訪問は
切羽詰まった彼女の事情によるものだった。
女性に対しては石部金吉だった夫トマスが、浮気をしているのだという。
その相手はいまロンドンで話題の踊子サロメ。
さっそく動き出した ”チーム・ヴィクトリア” は、
早々に事態の裏に隠された事実を見抜いていく。
トマスの行動の理由、そしてサロメの意外な正体・・・
浮気騒動の中身の暴露までが、あっという間に進行するんだが
これもやっぱり長編を縮めたせいかなあ。

もともと全5巻ということでスタートした企画だったそうで
巻数の追加が通らなかったのは、やっぱり出版界の事情かなぁ。

「エピローグ」では次の事件の ”予告” まであって、
作者は続きを書く気は充分みたい。
またいつか ”チーム・ヴィクトリア” の話が読めること期待して。


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