SSブログ

レディ・ヴィクトリア アンカー・ウォークの魔女たち [読書・ミステリ]

レディ・ヴィクトリア アンカー・ウォークの魔女たち (講談社タイガ)

レディ・ヴィクトリア アンカー・ウォークの魔女たち (講談社タイガ)

  • 作者: 篠田真由美
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/02/18
  • メディア: 文庫
評価:★★★

舞台は19世紀のロンドン。いわゆる「ヴィクトリア朝」の時代。

タイトルは主人公の名前。女王陛下と同名の
貴婦人ヴィクトリアとその召使いたちの冒険探偵譚、というところ。

アメリカ南部生まれの女性ヴィクトリアは
高齢の英国貴族シーモア子爵と知り合い、ともに世界を旅してきた。

やがて、子爵の前妻が亡くなり、彼の後妻となるが
前妻の子供らとの折り合いがいいはずもなく、
2人でロンドンへ帰ってきてから子爵が亡くなると、ヴィクトリアは
アンカー・ウォークのテラスハウスでひっそりと暮らすようになる。

しかし彼女のところへ悩み事や相談事を持ち込む人が後を絶たない。
彼ら彼女らの問題の背後に潜む事件を解決する
貴婦人ヴィクトリア、そしてメイドのシレーヌ、
さらにユニークな使用人たちの活躍を描く連作集の第1作。

もっとも、どちらかというと洞察力に長けているのはシレーヌの方で
ヴィクトリアは冒険心旺盛なあまりトラブルに巻き込まれたりと
役回りとしてはワトソンの方に近いかな。

本書は初回だけあって、舞台(時代)設定の説明や
キャラクターの紹介、といった趣が強いかな。

ヴィクトリア朝というのは様々なフィクションの舞台ともなってるけど
本書ではロンドンの様子や貴族社会のしきたりなども
けっこう詳しく描かれていて、興味深い。

「第一章 チェルシーの妖精女王(フェアリークイーン)」
「第二章 消えたダイヤモンド」
アルヴァストン伯爵家で開かれた晩餐会で、
ダイヤモンドの耳飾りが盗まれてしまうが、
スコットランド・ヤードも解決に手を焼いてしまう。
伯爵の孫娘アミーリアは、友人でもあるヴィクトリアに相談するが・・・

「第三章 お向かいは謎だらけ」
「第四章 見えない(インヴィジブル)ファントム・レディ」
詩人を目指すフランス人青年ルイは、出版社の招待で英国へ来た。
ロンドン校外のハイゲートで、友人たちとの酒宴を抜け出した彼は
近くの屋敷で美しい女性の姿を見かけるのだが・・・

「第五章 わが主(ミレディ)に仇なす者は」
「第六章 ロイヤル・アルバート・ホールの悪意」
「第七章 地獄の火(へルファイア)倶楽部再臨」
オペラ観劇に訪れたヴィクトリアは、”某公爵夫人” と称する女性から
家宝のダイヤモンドを取り戻すことを依頼される。
誘われるままにオペラハウスを出てしまうが、連れ込まれたのは
ルイが ”亡霊” を見たというハイゲートの屋敷だった・・・

主人公ヴィクトリアとメイドのシレーヌ以外にも
人種・国籍・年齢などいろんな意味で多様な使用人たちがいるのだけど
彼ら彼女らも含めた ”チーム・ヴィクトリア” というか
”ヴィクトリア探偵団”(笑)の活躍が、今後描かれていくのだろう。

さらには、ホームズに対するモリアーティ教授のような
ヴィクトリアにとっての ”宿敵” も存在するようで、続きが楽しみだ。

加えて「エピローグ」では、新人メイドのローズが登場する。
このお嬢さんもメインキャラの一人になるそうだ。

このシリーズは現在5巻まで刊行されているけど、
そこで止まっているとのこと(ストーリー的にはまだ未完)。
理由はわからないけど、これも昨今の出版事情があるのかな?

でもまあ、作者は再開の準備をしているとの情報もあるので
完結を期待しましょう。


nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 3

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント