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悪いものが、来ませんように [読書・ミステリ]

悪いものが、来ませんように (角川文庫)

悪いものが、来ませんように (角川文庫)

  • 作者: 芦沢 央
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2016/08/25
  • メディア: 文庫
評価:★★★

視点人物となるのは2人の女性。

庵原紗英(いはら・さえ)は助産院で働いている。
妹であり、同僚でもある鞠絵が助産師の資格を持っているのに対し、
紗英は資格不用な看護助手でしかない。
結婚はしているが子どもが授からない。
夫・大志(だいし)は銀行勤めだが、職場の同僚と不倫しているらしい。

柏木奈津子は専業主婦。結婚以来、家事と育児に生きてきた。
しかし、参加しているボランティア団体で仲間の輪になかなか入れない。

そんなストレスを溜め込んだ彼女たちは、
ともに過ごすひとときでお互いの傷をなめ合っている。
物語の序盤では、紗英は奈津子の家をしばしば訪ね、
奈津子もまた紗英の家で食事を作ったりするなど
”心の支え” 以上で、見ようによっては”過剰な依存” とも言えるような、
いささか異様な2人の日常生活が綴られていく。

で、ここから先のストーリーの紹介が難しい。

物語の1/3が過ぎたあたりで、紗英の夫・大志が殺害される。
前後の状況の描写から、犯人は明らか(に思える)のだが、
何せ本書はミステリだからね(笑)。

ミステリをよく読んでいる人ほど、この状況に疑問を持つだろう。
実はこの状況には裏があって、真犯人は別にいるのではないか?、と。

中盤以降は、大志の死を巡る紗英と奈津子の行動が描かれていく。

そして終盤では、ある ”事実” が明かされて、
それまでの物語で見えていた光景に別の意味が与えられる。
もちろん大志の死の真相も、それとともに明らかになるのだが・・・

いやはやこれは驚いた。
見事な背負い投げを食らってしまいました。
文庫裏の惹句には、「最後まで読んだらもう一度読み返したくなる」
と書いてある。私は読み返しはしなかったけど(笑)、
読んでいて感じた違和感や引っかかりが、
これによってすっきり解消されてしまうのはお見事。

ミステリとしては「天晴れ」。
普通なら星3つ半なのだけど、物語としてはどうかなぁ。
読後感がどうにも重くて、星半分減量してしまいました。
スミマセン。


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