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ヴァイオレット・エヴァーガーデン (映画版) [アニメーション]


※「映画版」の結末部分に触れています。

コロナが心配ではあったけど、席も間隔を開けて販売されているし、
なにより平日の昼間に映画館にそうそう人がいるはずはない。
そう思って行ったのだけど、思ったより人は入っていたし
私くらいの年配のオジさんも数人いて、ちょっと安心(笑)。


■TVシリーズと「映画版」の関係

「映画版」で描かれる内容はTVシリーズの後日談であり
その中で未消化だった「ギルベルト少佐の消息」について
決着がつく話であり、(おそらく)シリーズの「完結編」となる話。

「外伝」は単発のエピソードで、本筋との関係もほとんどないので
「映画版」を観るに際しては、必須というわけではないと思う。
でも、TVシリーズは観ておいた方がより理解できると思うし、
制作側もそれを前提に作っているように思う。

もちろん、TV版を見ずに映画から入ってくる人のために
必要最小限の説明描写(TVシリーズからのシーンの挿入)はあるので
理解できないこともないが・・・
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■「映画版」を見終えて

上映時間140分と長めだが、私は楽しませてもらったと思う。

途中、描写がやや冗長かなと思うところや、
やや展開が乱暴だなと思うところもなくはなかったが、
見終わってみればまあまあ満足、
100点満点で言えば75点くらいかなあと思った。

減点分は何かというと、見終わった後に
ちょっとモヤモヤしたモノが残ったからからなのだが
これを説明するには映画の結末に触れなければならない。

というわけで、これ以後はネタバレ全開で書くので
映画版をこれから観ようという方は読まないことを推奨する。




■ギルベルトの消息

実はTVシリーズを見終えてwikiを読んでいたら
「原作ではギルベルトは生存している」という文章を発見してしまった。
だから、映画版ではギルベルトとの再会が描かれるのだろうなぁ・・・
と思っていたのだが、実際そうだった。

映画のかなり早い段階でギルベルトの生存は明かされる。
後半では当然ながらヴァイオレットは彼のもとへ向かうのだが、
ギルベルトは彼女と会うことを拒絶してしまう。

■「モヤモヤ」その1:ヴィオレットの「最後の手紙」

ギルベルトに拒絶されたヴァイオレットは
傷心を抱いて帰路に就くことになるのだが
その際、1通の手紙を彼に残していく。その内容が「モヤモヤ」その1。

ひたすらギルベルトへの感謝を綴ったもので、彼への思いの深さは
十分に分かるのだが、それが深すぎるのだろう。
私には、その文面があまりにも従属的、依存的に感じられた。
よく言えば実に古風。明治や大正の頃の女性が書いたみたいである。

 もっとも、この作品世界は20世紀初頭の頃がモデルだろうから
 それを考えれば、そんなに不自然な文章ではないのかも知れないが。

令和のこの時代に、こういう手紙を書くキャラに
お目にかかるとは思わなかったし、ちょっとした驚きだった。

 とは言っても、私自身は昭和育ちの古~い人間なので、
 こういう奥ゆかしい女性は嫌いではない。
 嫌いではないんだけど、2020年の映画に登場したのはびっくりだ。

ギルベルトを見つけたら、まず一発張り手を噛まして
消息不明をなじり、それから相手の首根っこをつかんで
切切と自分の気持ちを訴える・・・
なんてのが今風のヒロインではないかなぁ。

すみません、私の勝手な思い込みですが。

 まあ、そんな現代だからこそ、
 ヴァイオレットのキャラは際立つとも言えるが・・・

そして「映画版」を観た翌日になって、ふと思った。
この手紙、まるで遺書みたいだったな、と。

まあ実際に死ぬことはないのだろうけど、自分の人生はここで終わりで
この先には一切の夢も希望もない、そんなことを感じさせる文章だ。

TVシリーズ後半や「外伝」では実に堂々と仕事をこなし、
(本人にそのつもりはないだろうが)結果として
依頼人の人生をも変えてしまうような影響を与えてきた。
大陸全土に名を知られ、C.H郵便社でもトップの人気を得るまでになる。

そして、ギルベルトとの再会を信じつつも、
彼の存在しない世界を受け入れて、前を向いて生きていく。

TVシリーズのラストで描かれたのは、そんなふうに
自立して生きていく女性としてのヴァイオレットだった、
と受け止めた人もいただろうし、
そういう人は、映画終盤の彼女を見て戸惑うだろう。

 ネットの感想もちょっと見てみたのだけど、
 そのあたりに不満の人も一定数いるみたいだ。

とは言っても、私はギルベルトが生きていて
二人が再会できたことをよかったと思ってますよ。
私はヴァイオレットが幸福になることを望んでましたし
彼女にとっての幸福とは「ギルベルトと共に生きること」でしたから。

■「モヤモヤ」その2:二人の間にあったのは恋愛感情だったのか?

こちらの疑問は、TVシリーズを見てるときも
映画を観てるときも、頭の片隅にあったことなんだが・・・

二人が出合ったとき、ギルベルトは既に少佐になっていたのだから
どんなに若くても20代半ば~後半だろう。
ヴァイオレットは、最後の戦いで負傷し、回復し、
義手のリハビリを終えてC.H郵便社に入ったときが14歳だから
たぶん出合ったときは、いいとこ12歳くらい?

どう考えても一回り以上の年齢差。下手すれば15歳以上離れてる。
まあ世の中にはそれくらいの年齢差のカップルもいるが
(つい最近、知人の30歳の女性が50歳の相手と結婚したと聞いて驚いた)
いくらなんでも10代前半の少女に恋愛感情を抱くものなのか?

劇中でのギルベルトの言動を見る限り、
彼のヴァイオレットに対する感情は、男女の恋愛感情としてより
父親的な、あるいは年の離れた兄のようなもののようにも思える。

映画の中で、彼が頑なにヴァイオレットに会おうとしなかったのを見て
なんてヘタレな奴なんだ、と思ってたが、父親や兄として
ヴァイオレットに接していたのなら、分かるような気もする。

 自分のせいで娘や妹が不幸になったと思えば
 そりゃあわせる顔がないと思うよなぁ・・・

ヴァイオレットにしても、家族というものを知らずに育ってくれば、
父や兄としての役割をギルベルトに求めるのは当然だろう。

二人が築いてきたのは、”擬似的な家族” としての関係だったと考えると
いろいろ腑に落ちるようにも思う。

映画のラストシーンは、戦争で断ち切られてしまった
”疑似的な家族” としての絆を、再びつなぎ直すことを確認した、
という風にも解釈できるように思うし。

思い返してみれば、二人の間に恋愛感情が育つには、
あまりにも言葉と時間が不足していたように思う。

もちろんそれらが十分に満たされれば、二人の間の感情が
恋愛へと成長していくことも十分あり得ることだろうだけど、
映画版ではそこをすっ飛ばして、いきなり
別れ別れになっていた最愛の恋人同士が劇的に再会した、
みたいに演出されていたのがモヤモヤの理由なのだろう。



■二人が恋愛関係になるために

映画版では、ヴァイオレットは一旦仕事に戻り、
予約分をこなしてからギルベルトの暮らす島へ渡ったと語られる。
劇中での台詞から、その期間は最低でも3か月と思われるが
このあたりを膨らませてもよかったんじゃないかなあ。

映画ではギルベルトとの生存確認と再会のみに絞って
上映時間も90分位にして。

ギルベルトは島に残り、ヴァイオレットは仕事に戻り、
第2シーズン12話くらい、作品内時間で1年くらいかけて
二人の関係をゆっくり進展させる。
例えば、二人に手紙のやりとりをさせるとか。
そうすれば作品のテーマにも沿うし、ついでに京アニにとっても
営業的に美味しいんじゃないかな(おいおい)。

なんだか「あしながおじさん」みたいだが、
あっちも手紙が重要なモチーフだったし、いいんじゃない?(笑)。

そんなことを思いました。

■終わりに

こんなに長くなるとは思わなかったのだけど
書き出したらけっこう書けましたよ。
それだけ作品に力があったということなのでしょう。

いろいろ好き勝手なことを書いてしまったので
ファンの方の中にはお気に触った人もいるんじゃないかと思います。
もしそうなら、申し訳ないことですが
所詮、にわかのオッサンの書いてる戯言なので
ご勘弁願えたら助かります。

最後に、声優さんについてちょっと書かせてもらって終わります。

ヴァイオレット役の石川由依さんは、
デビュー作『ヒロイック・エイジ』(2007)のディアネイラ王女役で
知りましたが、いい声優さんになりましたねぇ。
ディアネイラといいヴァイオレットといい、
純真で一途な女性がよく似合いますね。
『蒼穹のファフナー EXODUS』の水鏡美三香みたいな
元気いっぱいのお嬢さんも好きですが(笑)。

もう一人、カトレア役の遠藤綾さんも大好きな声優さん。
OVA『舞-乙HiME 0〜S.ifr〜』(2008)のレナ役以来、
いくつかの作品で見てますが、包容力のある優しい声で癒やされてます。
往年の大河アニメ『銀河英雄伝説』のリメイク版である
『銀河英雄伝説 Die Neue These』ではフレデリカ役をされてますね。
旧作では榊原良子さんでしたが、遠藤さんのフレデリカも楽しみです。
こちらは、そのうちまとめて観ようと思ってます。


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mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-11-12 02:18) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-11-12 02:19) 

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