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毒殺協奏曲 [読書・ミステリ]

毒殺協奏曲 (PHP文芸文庫)

毒殺協奏曲 (PHP文芸文庫)

  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2018/12/28
  • メディア: 文庫
評価:★★★

「伴奏者」永嶋恵美
中学校の文化祭。合唱部のステージ発表の直前、
顧問の北上先生が体育館の用具室で倒れていた。
公には花粉症の点鼻薬と消毒薬を間違えた、と発表されたが
ピアノ伴奏係だった美雪は真相を探り始める。

「猫は毒殺に関与しない」柴田よしき
SNS上で、人気作家・四方幸江を中傷する書き込みが見つかる。
幸江は身近にいる人間が犯人は睨み、同期作家の桜川ひとみに
協力を仰いで、関係者一同を集めた夕食会を開くが・・・
毒殺がテーマながら、ユーモアたっぷりの筆運び。
作家や編集者など出版界の裏話的な要素が楽しい。

「罪を認めてください」新津きよみ
ある事情から職を辞して実家に帰ってきた直美。
しかしその庭先で、毒殺されたと思しき猫の死体を発見する。
飼い主だった老婦人・横森に死体を引き渡すが、
彼女は愛猫を殺した犯人を突き止めると言い出す・・・
ラストでの直美の選択が秀逸。

「劇的な幕切れ」有栖川有栖
平凡な人生に飽きていた内村は、SNSで知り合った女性・紫藤美礼と
一緒に自殺することになった。決行日に落ち合った二人は
あらかじめ決めておいた死に場所に向かうが・・・
冒頭から美礼には何かありそうだとは思わせるのだが、
この ”正体” までは分からないよねぇ。

「ナザル」松村比呂美
専業主婦の水野希江は、図書館で同じPTA仲間の松原瞳が
毒物に関する書物を漁っているのを目撃する。
やがて瞳の叔父が食中毒で亡くなり、
松原家は学区外の高級住宅街へ引っ越すことが決まる・・・
子どもたち同士のいじめ問題も絡んでくるのだが、
それも含めてラストの解決は鮮やか。

「吹雪の朝」小林泰三
登美子は同僚だった夫と結婚後、北の僻地にある夫の実家へ入った。
ある日、その家を登美子の元同僚たちが訪ねてくる。その中には
夫の恋人だった富士子もいた。その夜は激しい吹雪となり、
翌朝、登美子の夫が毒を盛られた状態で見つかる・・・
これはすっかり騙されました。伏線を伏線と思わせないのはさすが。

「完璧な蒐集」篠田真由美
アンティーク・ドールの収集家だった叔父が結婚した。
相手は親子ほど年の離れた麻子という女性。
しかしその直後に叔父は自殺し、遺産は全て麻子のものに。
真相が明らかになった後にもうひとひねり。

「三人の女の物語」光原百合
絶世の美女と謳われた女王と有名なおとぎ話の女王。
いずれも ”毒” と縁の深い人たちなのだが
でも彼女たちの人生の裏側はこうだったかも・・・という2編。
3人目はある人妻の話。毒殺する側ではなくされる側の物語。

女性作家のアンソロジーのせいか、あるいは
”毒殺” という行為そのものが
”女性の犯罪” というイメージがあるせいか
本書の中で「毒を盛ったと疑われる人物」はみな女性。

だけども、そこから先が皆さんの腕の見せ所。
ひとひねりふたひねりして、驚かされる結末が待っている。


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mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-07-12 22:35) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-07-12 22:35) 

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