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蝶々殺人事件 [読書・ミステリ]

蝶々殺人事件 「由利先生」シリーズ (角川文庫)

蝶々殺人事件 「由利先生」シリーズ (角川文庫)

  • 作者: 横溝 正史
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2020/03/24
  • メディア: 文庫
評価:★★★

久しぶりに近所の書店に行ってみたら、
横溝正史の文庫が何作か復刊になっている。
内容は ”由利先生” ものばかり。
何でかな~と思ったら、なんとTVドラマになるんですねぇ。
・・・っていうか、今放映されてる最中だ。

横溝正史が創造した探偵と言えば金田一耕助が
あまりにも有名だけど、金田一が登場する前までは
探偵犯罪研究家・由利麟太郎(ゆり・りんたろう)、通称・由利先生が
メインを張っていた時代もあった。
本作はその由利先生と、その相棒である新聞記者・三津木俊助が
活躍する長編ミステリ。

・・・なんだけど、本作は由利先生が登場する最後の作品らしい。
本作以後は、金田一耕助が横溝ミステリの主役になる。

時代は昭和12年10月。
日本屈指の歌劇団を率いる原さくら女史は3日間の東京公演を終了し、
次の公演地である大阪へ向かうことになった。

団員は10月19日の夜汽車で東京を発つが、さくらだけは一足早く、
午前10時東京発ー午後8時大阪着の汽車で移動することになった。
(東京ー大阪が10時間もかかるなんて、時代を感じるねぇ)

大阪到着後、さくらはホテルにチェックインするが、
迎えに来たマネージャーの土屋と入れ違いに外出してしまい、
そのまま行方不明になってしまう。

一方、翌朝8時に大阪へ到着した団員たちは、
午後2時から会場で稽古に入ることになっていた。
楽器も同じ汽車で搬送されてきていたのだが、
団員のコントラバス・ケースの中からさくらの遺体が出てくる・・・

先に大阪に到着していたはずのさくらが、
後から到着した劇団員と一緒に届いた楽器ケースの中から
死体で発見されるという、意外かつ不可思議な謎から始まる。

やがて警察の捜査によってさくらの動線と、
コントラバス・ケースの動線が明らかになっていくのだが
その複雑さにいささか驚かされる。

鉄道を使ったアリバイトリックというほどのものではないけれど、
人と物の動きを上手く使って不可能な事象を可能にする。
横溝正史ってここまで緻密なイメージがなかったのでちょっと驚き。

謎解きとは直接の関係はないけれど、本作のラストで
なんと由利先生は結婚するのだが、その相手にびっくり。
ちなみに先生は40代半ばくらいと思われるのだが
奥さんはかなり若い。ちょっと羨ましい(笑)。

併録された作品についてもちょっと書いておくと

「蜘蛛と百合」
三津木俊助の友人・瓜生朝二が交際している君島百合枝に
”蜘蛛” と呼ばれる謎の男がつきまとっているらしい。
しかし俊助がその話を聞いた直後、朝二は殺されてしまう。

「薔薇と鬱金香」
鬱金香(うっこんこう)夫人、マダム・チューリップとも呼ばれる
美貌の人妻・畔柳(くろやなぎ)弓子。
その夫で高名な弁護士だった畔柳慎六が殺された。
犯人は隣家に住む ”薔薇郎” という芸名の歌手。
5年後、犯人は獄中で死亡し、弓子は小説家・磯貝半三郎と再婚する。
しかし夫と二人で出かけた劇場が火事になってしまう。
逃げ惑う弓子は謎の老紳士に救われるのだが・・・

表題作「蝶々-」は堂々の本格ミステリなのだけど、
併録された「蜘蛛-」「薔薇-」は
ミステリと言うよりは怪奇犯罪小説、といった趣き。
強いて言えば江戸川乱歩の雰囲気に近いかな。

これはこれでいいけれど、金田一ものみたいな
謎解きミステリを期待するとアテが外れるだろう。

ちなみに、冒頭にも書いたけど由利先生シリーズがTVドラマ化された。
配役は由利先生に吉川晃司、三津木俊助が志尊淳。
まあ、時代も現代に置き換えて、内容もけっこう改変があるみたい。
今のところ見る予定はないかなぁ。


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コメント 5

mojo

コースケさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-07-12 22:33) 

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-07-12 22:33) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-07-12 22:34) 

mojo

サイトーさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-07-12 22:34) 

mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-07-12 22:34) 

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