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天空の救命室 航空自衛隊航空機動衛生隊 [読書・冒険/サスペンス]

天空の救命室: 航空自衛隊航空機動衛生隊 (徳間文庫)

天空の救命室: 航空自衛隊航空機動衛生隊 (徳間文庫)

  • 作者: 和代, 福田
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2018/02/07
  • メディア: 文庫
評価:★★★

航空機動衛生隊は、阪神淡路大震災をきっかけに設立された。
当時の緊急搬送の遅れを教訓に、日本中どこでも
有事において2時間以内の重症患者搬送を可能とする。

愛知県の小牧基地を拠点とし、隊長・弓削(ゆげ)四郎一等空佐のもと
医官、救急救命士、看護師、管理要員などからなる20名ほどの部隊だ。

主人公・内村彰吾一等空尉は、防衛医大を卒業後、
若き医官としてチームを率いて日々任務をこなしている。

彼らを現地まで運ぶのは航空自衛隊の輸送機C-130H。
その機長を務める鰐淵啓(はじめ)三等空佐は、
なぜか彰吾とはソリが合わず、一向に打ち解けることができない。

この2人をメインに、機動衛生隊を巡るエピソードが綴られていく。

「ミッション1 高度一万メートルの変心」
北海道千歳市に住む砂川理生(としお)は28歳。
2年間にわたって腎臓と膵臓の同時移植を待機してきたが、
岡山で臓器提供者が見つかり、機動衛生隊が理生の搬送に当たることに。
しかし新千歳から岡山までの航路の半ばほどに差し掛かったとき、
理生が突然、移植の拒否を表明する。彰吾は懸命に説得を試みるが・・・

「ミッション2 ペガサスとアスクレピオスの杖」
機動衛生隊に所属する医療職員は、週に1~2度、
小牧市民病院で医療活動に従事する。現場の経験を積むためだ。
彰吾もまた救急センターの当直医として勤務していたが
ある日、病院内で鰐淵の姿を見かける・・・

「ミッション3 心の距離」
交通事故に遭い、脳挫傷を起こした少年・田辺大地を
青森空港から兵庫県の伊丹空港まで搬送するミッションが行われるが
伊丹到着まで50分のところで、同乗していた父親が
脳溢血を起こして倒れてしまう。
途中で降りるか、伊丹まで向かうか。彰吾は決断を迫られるが・・・

「ミッション4 救える生命と」
彰吾の妹・優衣が小牧にやってくる。
彼女の ”人生の決断” に驚かされる彰吾。
一方、小牧市内でバス事故が起こり、多くの負傷者が
彰吾の勤務する救急センターに運び込まれてくる。
その中には鰐淵の母親・逸美(いつみ)の姿もあった・・・

「ミッション5 天翔ける救命室」
タイ王国で防衛産業の総合展示会が開催された。
機動衛生隊が使用している医療ユニットの展示のため、
彰吾たちもタイまで足を運び、さまざまなイベントをこなす。
しかし帰国予定の前日に、彰吾は何者かに拉致されてしまう。
彼は何処とも知れぬ部屋で、謎の老人の治療を強いられるが・・・

「天空の救命室」と銘打ってあるけれど
実際に患者搬送を巡るエピソードは
「ミッション1」と「ミッション3」のみで、それ以外は
機動衛生隊の日常業務や職員たちの事情を描いた ”お仕事小説”。


特に ”空の上” での、医官としての彰吾の責務と
パイロットである鰐淵の矜持がぶつかり合うエピソードはいい。
どちらの主張も ”正論” であり、緊張感に溢れている。


後半に入って彰吾の妹・優衣を巡る ”トラブル” に
鰐淵が関わっていくのは、ちょっと都合がよすぎるようにも思うが
エンタメの展開としては正解だと思う。


その他の衛生隊のメンバーたちもキャラが立っていて楽しく読める。
中でも、衛生隊に所属するもう一人の医官・桜井二等空佐の台詞は
いぶし銀の輝き。さすがベテラン、って思わせる。


nice!(2)  コメント(2) 
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mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-07-03 23:56) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-07-03 23:57) 

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