SSブログ

現代詩人探偵 [読書・ミステリ]


現代詩人探偵 (創元推理文庫)

現代詩人探偵 (創元推理文庫)

  • 作者: 紅玉 いづき
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2018/04/12
  • メディア: 文庫
評価:★★

SNS上のコミュニティ『現代詩人卵の会』は、
ある地方都市でオフ会を開いた。
当時15歳だった ”僕” を含めた9名の参加者は、これからも
詩の創作を続け、10年後に再会することを約束して散会した。

そして10年。25歳となった ”僕” は
大学を卒業後も定職に就かず、フリーターとして暮らす日々。

10年前の約束に従い、再会の場に向かうが、
そこに集まったのは ”僕” を含めて5人だけ。
4人のメンバーはこの10年の間に自殺を含め、不審な死を遂げていた。

”僕” はかつて、コミュニティ『現代詩人卵の会』で
「探偵」という題名の詩を投稿していた。
そのせいか、集まった他の4人から、
彼らが亡くなった経緯を調べてほしいという依頼をされる。


「第一章」
ハンドルネーム「小木屋(おぎや)」は、農薬による服毒自殺を遂げた。
彼の母親に会った ”僕” は、彼が毒を自らあおるまでの
心の動きを辿ろうとするが・・・

「第二章」
ハンドルネーム「遠野昼夜(とおの・ちゅうや)」は、
鉄道事故で死んでいた。しかしそれは本当に ”事故” だったのか?
”僕” は残された彼の妻に会いに行くが・・・

「第三章」
ハンドルネーム「夏炭(かずみ)」は、生来病弱で、
入院していた病院の非常階段から飛び降り自殺を遂げたという。
”僕” は、彼の恋人だった女性に会いに行くが・・・

「第四章」
ハンドルネーム「明日田(あすた)」は、非常勤講師を務めていた大学の
駐車場で、冬の朝に凍死体で発見された。彼が参加していた、大学の
詩作サークルを訪れた ”僕” は、他殺の可能性に思いを巡らすが・・・


”僕” は、それぞれの死の表面的な事実の底に潜む
さまざまな ”事情” を探り当てる。
中には、『現代詩人卵の会』の他のメンバーとの意外な関わりが
浮かび上がってきたりと、ミステリ的な展開もある。

しかし、それによって残された家族の悔いが払拭されたり、
残された『現代詩人卵の会』のメンバーの悩みが緩和されることもない。

でもまあ、本書を読んでいていちばん分からないのは
「詩を書く人の心情」だろうなぁ。
登場するのは詩作に ”取り憑かれた” 人ばかり。
残念ながら、作者が文章で書いたこと以上に
彼らの心の内を想像することは私にはできない。
そのあたりが、隔靴掻痒というか今ひとつ作品にのめり込めない理由。

個々の ”事件” の解決も、確かな証拠に基づくものではなく
多くは推察/想像の範疇に属するもので
そのあたりもミステリとしてはやや不満かなぁ。

唯一、ラストにおいて ”僕” 本人に関わる、
ある事実の提示が一番ミステリっぽいところか。

全体的に陰鬱な雰囲気が漂っていて、そのへんも苦手です。


昔、私の同僚に大学は文学部で、詩を専攻していたって人がいたけど
彼は本書に登場する多くの詩作者たちとは全く異なるキャラだったなあ。
なぁんてことを思い出しました(笑)。

nice!(4)  コメント(4) 
共通テーマ:

nice! 4

コメント 4

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-06-27 01:46) 

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-06-27 01:47) 

mojo

サイトーさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-07-02 01:17) 

mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-07-02 01:17) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント