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はんざい漫才 [読書・ミステリ]


はんざい漫才 (文春文庫)

はんざい漫才 (文春文庫)

  • 作者: 愛川晶
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2016/05/27
  • メディア: 文庫
評価:★★★

老舗の寄席「神楽坂倶楽部」の内外で起こる事件を描いた
”日常の謎” 系ミステリ・シリーズ。その3巻め。

31歳独身の編集者・武上希美子(たけがみ・きみこ)は
幼い頃に両親が離婚、父が家を出た後に母は早世、
今は祖母・道代と二人暮らしである。

希美子が務める出版社が落語家の本を出すことになり、
その編集担当になったことがきっかけで
神楽坂倶楽部へ出向することになり、3か月という期間限定ながら
席亭代理として働き始めた。
ちなみに ”席亭” とは、寄席の経営者のこと。

落語にはずぶの素人だった希美子は、寄席や演芸の世界の
専門用語やしきたりに悩まされながらも、日々奮闘していく。
席亭代理としての仕事にも手応えを感じ始めているが、
そのまま寄席の仕事を続けるか、それとも出版社に戻るか、
どちらかを選ばなければならない時が迫ってきていた・・・


「はんざい漫才」
7年前にブレイクした漫才コンビ『フロントほっく』。
しかし人気絶頂のさなか、女性スキャンダルを起こして
人気が急落、舞台からも遠ざかってしまう。
しかし二人は心機一転、芸風も変えて、
大御所の演芸作家・粕屋定吉が書いた新作コント漫才で
再出発を期して神楽坂倶楽部に出ることになった。
漫才は好評だったが、作者である粕屋が何者かに襲われ、
大怪我を負って入院したという知らせが舞い込んでくる・・・

「お化け違い」
東京落語協会会長・松葉家常吉は、体調悪化を理由に会長職を辞任した。
新たに会長職を引き受けたのは、花山亭喜円(かざんてい・きえん)師匠。
17年前にも会長職を務め、その後は協会の最高顧問を務めていたが
今回、後継者がなかなか決まらない中、自ら名乗りを上げたのだった。
しかし喜円は17年前の会長職にあった時代、
協会の放漫な会計が問題になり、さらには人望の乏しさも相まって
一部の落語家から会長解任のクーデターを起こされたことがあった。
クーデターそのものは不発に終わったが、
その首謀者の中には、神楽坂倶楽部の席亭がいた。
それ以来、喜円師匠は席亭を目の敵にしてきたが、その喜円が
なぜか今回、神楽坂倶楽部の高座に上がることを承知したという。
しかし当日、喜円の無茶な振る舞いによって
希美子は席亭代理としての最大のピンチを迎えてしまう・・・


私は寄席に行ったことは一回しかないし、
もちろん、この「お化け違い」で語られるような光景を
目にしたこともないのだけど、この日神楽坂倶楽部に来ていたお客さんは
さぞかし面白いというか楽しい経験をしたのだろうなあ・・・って思う。

3か月間とはいえ、席亭代理として務めた希美子には
寄席やそこで働く人々、落語家や芸人に対する愛着も湧いてくる。
今回も希美子の覚悟と義蔵の機転が神楽坂倶楽部の危機を救う。

席亭を継ぐか編集の仕事に戻るか。彼女の決断まで描かれるので
シリーズとしてはここで一区切りなのだろうけど、
神楽坂倶楽部の話はもっと読んでみたい。
いつかは分からないけど、続きは書いてほしいなあ。


あと、「あとがき」の最後の1行はサプライズ。
私はかなりびっくりしましたよ。
ミステリ作家さんらしいと言えばそれまでだけど
現代の日本でこれをやるとは。



TVなんかで見るのもいいけれど、
生の高座のいうのはやはり何物にも代えがたい。
コロナ騒ぎが落ち着いたら、かみさんと二人で寄席に行ってみたい。

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mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-06-22 00:21) 

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-06-22 00:22) 

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