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語り屋カタリの推理講戯 [読書・ミステリ]


語り屋カタリの推理講戯 (講談社タイガ)

語り屋カタリの推理講戯 (講談社タイガ)

  • 作者: 円居 挽
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2018/02/22
  • メディア: 文庫
評価:★★☆

舞台は、”エリア” と呼ばれる、何処とも知れぬ場所。
読んでいくと分かるが、かなり広大で
高い建造物や大がかりな仕掛けも仕込んである。
本書はそこで行われる ”推理ゲーム” を描いている。

「フーダニット・クインテット」
「ハウダニット・プリンシプル」
「ワイダニット・カルテット」
「ウェアダニット・マリオネット」
「ウェンダニット・レクイエム」
「ワットダニット・デッドエンド」

各章のタイトルから分かるように、
「Who」「How」「Why」「Where」「When」「What」 という
5W1H の各ジャンルから ”事件が出題” され、
それを ”プレイヤー” が推理して解いていくという ”ゲーム” 形式。

しかし、プレイヤー自身が被害者になる(殺される)こともあるという、
物騒なゲームでもある。

いったい何でこんなことが行われているかというと、
このゲームの模様はネットで中継されており、
”主催者” はそれによって大儲けしているらしい。
だからもちろん、プレイヤーの傍らには常にカメラマンもいる(笑)。

プレイヤーは手首に ”バングル” と呼ばれるリング上の器具を装着する。
そこには6つの穴が開いており、プレイヤーが ”事件” を推理して
”解決” すると、そこに1つずつ点灯していく、というつくり。

プレイヤーが 5W1H の6つの ”事件” を ”解決” し、
6つの点灯を果たせば ”ゲームクリア” となって莫大な報酬を手にする。
(そうじゃないと、こんな命がけのイベントに参加する人はいない)

プレイヤーが示す ”推理” は、必ずしも正しくなくてもいい。
例えばひとつの事件に対して二人のプレイヤーから
異なる ”推理” が提示された場合は、
より ”観客” の支持を集めた方が勝者となるのだ。

 このあたりは、同じ作者の「ルヴォワール」シリーズや
 「シャーロック・ノート」シリーズにも通じる設定である。

正しいけど地味な真相より、間違っているけど
派手で受けがいい真相のほうが受け入れられることもあるわけだ。


主人公は、中学生と思われる少女・ノゾム。
彼女は、ゲームの報酬をある難病の治療薬開発に充てるために
参加してきたのだが、海千山千の参加者たちの中にあっては
生き残ることさえ容易ではない。

そんな彼女の前に現れたのが、カタリと名乗る奇妙な青年。
たやすく ”ゲームクリア” できそうな卓越した推理力を持つのだが、
あえてクリアせずに ”エリア” に居残っているようだ。
彼は「君に謎の解き方を教えよう」と、目の前で起こった事件を題材に
ノゾムに対して推理のレクチャーを始めるのだが・・・


通常のミステリと比べて虚構性とゲーム性が強い。
それゆえに、通常なら「いくらなんでもそれはないだろう」という
トリックが堂々と使える。

「ハウダニット・プリンシプル」での殺害方法とか、
「ウェアダニット・マリオネット」での殺害場所なんかは
”バカミス” のレベルさえも越えていて
通常のミステリで使ったら怒り出す人がいそうな真相だけど
この作品世界内なら、堂々と使えてしまう。

ミステリとしてはかなり過激な作品でそれなりにスゴいとは思うんだけど
物語の最終的な着地点が私の好みではないので、星の数は少なめ。

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mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-05-22 20:50) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-05-22 20:51) 

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