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月輪先生の犯罪捜査学教室 [読書・ミステリ]


月輪先生の犯罪捜査学教室 (光文社文庫)

月輪先生の犯罪捜査学教室 (光文社文庫)

  • 作者: 秀文, 岡田
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2019/08/08
  • メディア: 文庫
評価:★★★

名探偵・月輪龍太郎(がちりん・りゅうたろう)シリーズ、初の短編集。

東京帝國大学に、一風変わった講座が開設された。
その名も「犯罪捜査学」。実際に起きた未解決事件を題材に
フィールドワーク(現地での見聞)も加えて真相を推理しようというもの。

講師はもちろん月輪龍太郎だが、参加した学生は
原口孝介、肥崎(こいざき)春彦、松坂栄次郎のわずか3名。
個性豊かなこの3人が、事件をめぐって
あれこれ推理を戦わせていく・・・

「月輪先生と高楼閣の失踪」
高楼閣は半年前に落成したばかりの6階建ての(当時としては)高層建築。
1~5階には売店が2~3軒ずつ入り、6階は展望台になっている。
ある日、高楼閣建設に当たって共同出資者となった実業家、
高梨義佐(たかなし・ぎすけ)と村雨利文(むらさめ・としふみ)が
そろって高楼閣を訪れた。5階の売店で高梨が買い物をしている間に
村雨が6階の展望台に上がっていったが、そこで姿を消してしまう。
4階と5階を結ぶ階段では、窓を修理する職人が働いており、
上から降りてきた者はいないと証言した。
そして二日後、町外れの酒蔵から村雨の死体が発見される・・・
この人間消失トリックはなかなかよくできてる。

「月輪先生と『湖畔の女』事件」
原口は最近、洋画家・梶川豊水(ほうすい)の元へ絵を習いに通いだした。
ある夜、豊水の元から帰る途中、不審な男に遭遇する。
男は豊水に会うと称して屋敷に入るが、そのまま姿を消してしまう。
その数日後、豊水の息子・鹿之助が誘拐され、身代金の要求が・・・

「月輪先生と異人館の怪談」
3人の学生は、伊藤博文に紹介するという言葉にのせられて
そろって大磯の海岸へやってきた。
そこで見つけた洋館には、15年前まで英国人の一家が住んでいたが
一人娘が海で亡くなり、夫婦が帰国してからは空き家となった。
しかしそこでは、夜になると子どもの泣き声が聞こえるのだという。
その話を聞きこんだ3人組が洋館の地下室を探ると、
そこには数日前に死んだと思われる男の死体が・・・

「月輪先生と舞踏会の密室」
政府高官・海田源五郎主催の舞踏会へやってきた月輪と3人組。
舞踏会場となった大広間の柱時計が8時の鐘を鳴らした直後、
銃声のような大音響が発生する。その数十秒後、海田が倒れる。
直ちに医師が診察し、胸の傷から弾丸が摘出されるのだが・・・
”密室” といっても出入り不能な密室なのではなく、会場にいた誰も
海田を撃つことができなかったという不可能犯罪。
このトリックはちょっと苦しいかなあ。
真相も反則技ギリギリっぽいし。


講座の学生3人はみな天下の帝大生なので、それぞれ自信たっぷりに
自分の推理を開陳するという多重解決もの。
しかしまあ、いずれも欠陥を指摘されて最後は月輪が真相を指摘する、
というのはお約束の展開ではある。

3人の学生はみな性格も体型(笑)も異なっていて個性的。
事件に可愛い女性が絡んでくると、
先を争って解決しようと奔走するのも可愛い。

巻末ではまだ続きがありそうにもとれるので、
またいつか続きが読めるのかも知れない。

nice!(4)  コメント(4) 
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コメント 4

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-05-02 23:51) 

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-05-02 23:51) 

mojo

サイトーさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-05-02 23:52) 

mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-05-07 23:01) 

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