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科警研のホームズ 毒殺のシンフォニア [読書・ミステリ]


科警研のホームズ 毒殺のシンフォニア (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

科警研のホームズ 毒殺のシンフォニア (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

  • 作者: 喜多 喜久
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2019/10/25
  • メディア: 文庫
評価:★★☆

「科警研のホームズ」シリーズ、第2巻。

「科警研」とは、科学警察研究所のこと。その科警研が
東京都文京区本郷に分室を設置し、3人の研修生が集められた。

北海道警の北上純也(きたかみ・じゅんや)。埼玉県警の伊達洋平、
そして兵庫県警からは安岡愛美(あいみ)。

ここの室長を務める土屋は東啓大の准教授を兼務している。
実は土屋はかつて科警研に所属し、目覚ましい成果を上げていた。
多くの未解決事件の捜査に参加し、犯人特定にも貢献していた。
ついた異名が「科警研のホームズ」。しかし2年前、
ある事件での鑑定ミスの責任を取る名目で科警研を辞職していた。

この分室の設立した科警研所長・出雲の目論見は、
土屋が3人の研修生とともに未解決事件の謎に取り組んでもらうことで
捜査への熱意を思い出して、科警研へ本格的に復帰してくること。

しかしながら当初の研修期間の半年を過ぎても
土屋は一向に現場復帰の意思を見せず、さらに半年間の
研修期間延長が決まったところまでが前巻。

本書も前巻と同じ4話構成で、3人の研修生が未解決事件の調査にあたり、
壁にぶち当たったところで土屋が解決に乗り出す、という流れ。

「第一話 毒殺のシンフォニア」
合成化学の学会終了後の懇親会の席で、大学教授・羽鳥が毒殺される。
ワインのグラスから検出されたのはテトロドトキシン(フグ毒)。
しかし、いつ誰が毒を混入したのかがわからない・・・
珍しく(笑)、土屋が前面に出てきて犯人と対決する。
でもこのトリックは、素人には思いつかないよねえ。

「第二話 溶解したエビデンス」
奥多摩の山中で発見された死体は、水酸化ナトリウム水溶液に浸されて
全身のタンパク質が分解されて白骨化していた。
遺体の胸骨が砕かれているのが死因と思われたが凶器の特定ができない。
アニメやSFに詳しい人の方が凶器の見当がつきやすかったりする?

「第三話 致死のマテリアル」
一酸化炭素中毒で死亡したと思われる死体が発見されるが
体内から見つかった一酸化炭素の濃度は致死量の数分の1しかない。
この真相も素人には思いつかないだろうなあ。

「第四話 輪廻のストラテジー」
新興宗教の教祖が死亡し、教団内では後継者争いが始まる。
教祖は集団環視の中で心不全で死亡したとされているが、
3人の研修生は他殺の可能性を探る・・・


トリックの中身よりも、研修生たちがチームワークで真相に迫っていく
その過程を読ませる作品なのだろうと思う。
だからたぶん、そのせいで土屋はあまり出しゃばらないのでしょう。

最終話では土屋が科警研を去ることになった
”鑑定ミス” の真相まで明らかになって、
彼が復帰できない理由はなくなってしまうのだが・・・

本書で3人の研修期間も終了するし、これで完結かとも思うけど
その気になれば続けられる終わり方になってる。

土屋はともかく(笑)、3人の研修生キャラは好きなので
続きが出たら多分読むと思うのだけど、
今度はもっと土屋に活躍してほしいなあ。

いっそのこと、まさに土屋が「ホームズ」と呼ばれていた
科警研時代のエピソードを読んでみたいと思うんだけどね。
そっちの方が需要がありそうな気もするんだが。

nice!(4)  コメント(4) 
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コメント 4

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-04-01 23:07) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-04-01 23:07) 

mojo

サイトーさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-04-01 23:08) 

mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-04-09 23:22) 

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