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ベスト本格ミステリTOP5 短編傑作選004 [読書・ミステリ]


ベスト本格ミステリ TOP5  短編傑作選004 (講談社文庫)

ベスト本格ミステリ TOP5 短編傑作選004 (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/06/13
  • メディア: 文庫
評価:★★★

本格ミステリ作家クラブが編集するところの
「本格短編ベストセレクション」シリーズ第4弾。
ノベルスで刊行された2018年版から、更に絞った5作を収録してる。

「夜半(よわ)のちぎり」岡崎琢磨
他のアンソロジーで既読。
同じ会社の同僚同士が結婚した2組のカップル、
長沼とその妻・茜(あかね)、川島とその妻・紗季(さき)。
彼ら4人は、新婚旅行先のシンガポールのホテルで鉢合わせしてしまう。
かつて紗季と交際していた長沼は、その夜、眠った茜を残して
ホテルの部屋を抜け出し、紗季と密会する。
しかし自分の部屋に戻ってくると茜の姿は消えており、やがて
ホテル近くのビーチで死体で発見される。
犯人当てと言うより、少ない登場人物間の人間模様がメイン。
ラストの1行にインパクト。

「透明人間は密室に潜む」阿津川辰海
細胞の変異により、全身が透明になってしまう
”透明人間病” が蔓延した世界が舞台。いわゆる特殊状況下ミステリ。
語り手である主人公(女性)も、透明人間のひとりだが、
彼女が透明人間病の治療薬を開発している大学教授・川路(かわじ)の
殺害を思い立つところから物語は始まる。
犯行の準備を着々と進める描写と共に、この世界での透明人間の設定が
語られていく。つまり作品内の設定条件がきちんと明かされる。
最終的に彼女は殺害に成功するのだが、そこからの話がメインとなる。
透明人間が犯人だったらどんな犯罪でも可能だろう、
ってのは、良くミステリでいわれることだが、
じゃあ本当に透明人間を出してみたら、という作品。
厳密な推理を展開するには必要なことかも知れないけど
設定説明に枚数が使われていて、ちょっとくどいようにも感じた。
ラストの展開と犯人の動機は意外なもので、このあたりは流石と思う。

「顔のない死体はなぜなぜ顔がないのか」大山誠一郎
荒川の河川敷で発見された女性の死体は
顔が叩き潰され、指先が焼かれていた。
行方不明の届け出があった女性と身長・体型が一致したので
死体は彼女のものと思われたが、遺体を見た元夫は違うという・・・
ミステリでは、犯人が遺体の顔をいろいろな理由で潰してきたが
本作で語られるのもまた意外でユニークなもの。なるほどそう来たか。

「首無館の殺人」白井智之
他のアンソロジーで既読。
首無館と呼ばれる屋敷を訪れた女子高生3人組が、
チンピラ3人組に捕らわれてしまうが、
翌朝、そのチンピラたちが3人とも殺されているのが見つかる・・・
という話なんだけど、私はこの作者とは合わないです。
本書で、もう一度読んでみたんだけど、もうやめます。
ミステリとしてよくできてるのは分かります。
でも、ホラーでグロでスプラッターな話はダメなんですよ。
勘弁してください(笑)。

「袋小路の猫探偵」松尾由美
実業家にして童話作家でもある猫のニャン氏が探偵役を務める一編。
とは言っても猫は人語を話せないので、秘書の丸山が
”通訳” してくれるんだが・・・実は彼が推理してるってのはナシ?
ニャン氏を担当する編集者の田宮宴(たみや・うたげ)嬢が経験した
袋小路での人間消失の謎をニャン氏が解き明かす。
目に見えない心理的な ”壁”を、”逆転の発想” で突破する流れは鮮やか。

nice!(4)  コメント(4) 
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コメント 4

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-03-28 01:24) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-03-28 01:25) 

mojo

サイトーさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-03-28 01:25) 

mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-04-09 23:22) 

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