紅蓮館の殺人 [読書・ミステリ]
将来のミステリ作家を目指す高校2年生の田所信哉(しんや)。
彼の親友・葛城輝義(かつらぎ・てるよし)は類い希な推理力をもつが
他人の嘘が許せないという、いささか窮屈な性格(笑)。
彼の親友・葛城輝義(かつらぎ・てるよし)は類い希な推理力をもつが
他人の嘘が許せないという、いささか窮屈な性格(笑)。
進学校に通う二人は、夏休みに軽井沢の山奥で実施される
学習合宿を抜け出して、人気推理作家・財田雄山(たからだ・ゆうざん)に
会いに行くことを企てる。
学習合宿を抜け出して、人気推理作家・財田雄山(たからだ・ゆうざん)に
会いに行くことを企てる。
雄山は5年前から新作を発表せず、どんでん返しや隠し通路がある
絡繰り仕掛け満載の洋館を山奥に建て、そこに住んでいるらしい。
絡繰り仕掛け満載の洋館を山奥に建て、そこに住んでいるらしい。
合宿3日目、設定された9時間にわたる自由時間を利用し、
二人はバスで雄山が隠棲する山へと向かう。
二人はバスで雄山が隠棲する山へと向かう。
しかし山道に入った二人の背後で、落雷による山火事が発生する。
火を逃れて登り続けるうちに、二人は小出(こいで)という
登山者の女性と出会う。彼女の行動に不審なものを感じながらも、
火事から逃れた3人は雄山の屋敷へたどり着く。
火を逃れて登り続けるうちに、二人は小出(こいで)という
登山者の女性と出会う。彼女の行動に不審なものを感じながらも、
火事から逃れた3人は雄山の屋敷へたどり着く。
主の雄山は97歳。意識不明で寝たきりの状態にあり、
息子の貴之、孫の文男とつばさの3人と暮らしていた。
息子の貴之、孫の文男とつばさの3人と暮らしていた。
さらには近くの山荘に住む久我島敏行と、
たまたま彼を訪れていた保険調査員の飛鳥井光流(あすかい・ひかる)が
避難してきて、総勢9人となる。
たまたま彼を訪れていた保険調査員の飛鳥井光流(あすかい・ひかる)が
避難してきて、総勢9人となる。
田所と葛城は同世代であるつばさと親しくなるが、
翌朝、屋敷に仕込まれた絡繰りの一つである吊り天井の下で、
彼女の圧死体が発見される。
設備が老朽化していたことから事故か殺人か意見が分かれるが
結論は出ず、山火事は刻一刻と迫ってくる。
翌朝、屋敷に仕込まれた絡繰りの一つである吊り天井の下で、
彼女の圧死体が発見される。
設備が老朽化していたことから事故か殺人か意見が分かれるが
結論は出ず、山火事は刻一刻と迫ってくる。
屋敷外への連絡手段はなく、携帯電話も圏外。
しかも屋敷の周辺は乱気流が渦巻き、ヘリコプターも近づけない。
山火事の勢いは一向に衰えず、このままでは
屋敷が火に包まれて焼失してしまうのも時間の問題だ。
しかも屋敷の周辺は乱気流が渦巻き、ヘリコプターも近づけない。
山火事の勢いは一向に衰えず、このままでは
屋敷が火に包まれて焼失してしまうのも時間の問題だ。
殺人犯人が中に潜むのではないかという疑惑に怯えながら、
彼らは屋敷内に存在する(と思われる)、麓へと続く ”抜け穴” を
必死になって探し続けることになるが・・・
彼らは屋敷内に存在する(と思われる)、麓へと続く ”抜け穴” を
必死になって探し続けることになるが・・・
そんな中、田所は10年前に光流に会っていたことを思い出す。
ある毒殺事件に巻き込まれた田所は、たまたま居合わせていた
高校生の光流が、鮮やかに解決するのを目の当たりにしていたのだ。
ある毒殺事件に巻き込まれた田所は、たまたま居合わせていた
高校生の光流が、鮮やかに解決するのを目の当たりにしていたのだ。
この事件でも推理をするよう田所から乞われた光流は、それを拒絶する。
彼女の探偵行動が原因で親友を失ってしまったことがその理由だ。
彼女の探偵行動が原因で親友を失ってしまったことがその理由だ。
葛城と光流、探偵であり続けようとする少年と
自ら探偵であることをやめた女性、この二人の対比も本書の読みどころ。
自ら探偵であることをやめた女性、この二人の対比も本書の読みどころ。
さて、本書は文庫で430ページほどあるのだけど、
なんと240ページを過ぎたあたりから徐々に謎解きが始まる。
もちろん、リアルタイムで火事が迫っている中で。
葛城の語るその真相は、殺人事件のみならず、
この場に居合わせた者たちの ”嘘” をも暴いていく。
このあたりはけっこう驚きの展開が続き、
殺人事件の犯人というメインの謎さえ、小さく見えてしまうほど。
この場に居合わせた者たちの ”嘘” をも暴いていく。
このあたりはけっこう驚きの展開が続き、
殺人事件の犯人というメインの謎さえ、小さく見えてしまうほど。
もっと言えば、ちょっと勘のいい人なら、葛城や飛鳥井の言動をもとに
犯人を当てるのはそんなに難しくないかも知れない。
でもそれ以上に、この屋敷に集まった人物たちの ”真実” が、
ミステリ的興味をつないでいく。
犯人を当てるのはそんなに難しくないかも知れない。
でもそれ以上に、この屋敷に集まった人物たちの ”真実” が、
ミステリ的興味をつないでいく。
作者は1994年生まれで今年26歳。なんと平成の生まれですよ。
しかも、デビュー時は23歳くらいだったらしいからたいしたもの。
山火事で孤立した山荘、ってシチュエーションは
「シャム双生児の謎」(エラリー・クイーン)にありましたね。
大学生の頃に読んだんだけど、もうすっかり内容は忘れてるなぁ。
「悲劇四部作」と「国名シリーズ」くらいは読み直してみようかなぁ。
鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2020-02-14 00:51)
@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2020-02-14 00:52)
31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2020-02-14 00:52)