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キャプテンサンダーボルト [読書・冒険/サスペンス]


キャプテンサンダーボルト 上 (文春文庫)

キャプテンサンダーボルト 上 (文春文庫)

  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/11/09
  • メディア: 文庫
キャプテンサンダーボルト 下 (文春文庫)

キャプテンサンダーボルト 下 (文春文庫)

  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/11/09
  • メディア: 文庫
評価:★★☆

物語の舞台となるのは山形県山形市と宮城県仙台市、
そして両者にまたがる蔵王連山だ。

相葉時之(あいば・ときゆき)は、30歳を前に未だ定職にも就かず、
胡散臭い儲け話に首を突っ込みながら浮き草のような生活を送っている。
後輩の起こした金銭トラブルに巻き込まれた相葉は、
母の暮らす実家の店と土地まで差し押さえされてしまう。
そんなとき、友人が天然水販売の詐欺に引っかかったのを受け、
そのペテン師を懲らしめるべく、仲間と共に山形のホテルにやってきたが
ドアマンの手違いで、目的の部屋の隣室へと入ってしまう。

そこにいた髭面の男との会話がかみ合わないことから
部屋を間違えたことに気づいた相葉たちだが、
そこへ隣室から謎の外国人3人組が襲いに来る。
辛うじて窮地を脱した相葉は髭面男のスマートフォンを奪って逃走する。

相葉の小学校時代からの旧友である井ノ原悠(いのはら・ゆう)は、
コピー機リースの営業担当をしている。
一人息子の健剛(けんごう)は持病の皮膚炎に悩まされていて
その高額の治療費で家計は借金に塗れ、火の車。
妻の沙弥子もすっかりノイローゼになってしまった。

喉から手が出るほど金がほしい相葉と井ノ原は
仙台の映画館で偶然に再会するが、
そこへ奪われたスマートフォン奪還するべく、追っ手が現れる。

それは巨体をトレンチコートに包んだ銀髪の外国人。
死と破壊をまき散らしながらあらゆる障害を突破して追ってくる、
このターミネーターみたいな怪人から二人が逃げ回るのが前半の物語だ。

ストーリーの進展に伴い、怪人はテロリストの一員で
”ゴシキヌマの水” なるものを入手しようとしていたことが明らかに。
相葉と井ノ原は怪人から逃げ回るうちに、
この ”水” を使って一儲けできるのではないか、と思い始める・・・


タイトルの「キャプテンサンダーボルト」には、いくつかの意味がある。

相葉や井ノ原が小学生だった頃、TVで放映されていた戦隊ヒーロー、
『鳴神(めいじん)戦隊サンダーボルト』は大人気を博し、
相葉も井ノ原もこの作品の大ファンだった。

その年、『鳴神戦隊ー』は映画版まで制作されたが、
公開直前に上映中止になってしまった。
主役のレッドを演じていた俳優が幼女わいせつ事件を起こしたためだ。

相葉たちファンにとって ”幻の作品” となってしまった映画版だが
なぜかその映画についての情報を集めている
謎の女性・桃沢瞳(ももさわ・ひとみ)も冒頭から登場していて
ストーリーは相葉・井ノ原・桃沢の3人を中心に進行していく。


さらに、蔵王山中にある不忘(ふぼう)山には
太平洋戦争末期に3機のB29が墜落したとの伝説があり、
終戦から3年後には、不忘山近くにある
”御釜(おかま)” という火口湖付近で謎の疫病「村上病」が発生、
以来60年以上の間、周辺地域は立ち入り禁止区域となっていた。


B29、謎の感染症、テロリスト、戦隊ヒーロー、etc・・・
さらには相葉と井ノ原の小学生時代からの因縁、現在の苦境まで織り込み、
三題噺どころか四題五題くらいありそうなキーワードを放り込んで
具だくさんに盛り付けられた物語なのだけど・・・

どうにも見通しが良くないように思うんだよねえ。
ストーリーを織りなす糸が多すぎて、どこがどうつながるのか。
中盤以降はそれぞれのつながりが明かされていくんだけど
そこに至るまでの相葉と井ノ原の行動が行き当たりばったり過ぎて
ついていくのに疲れてしまう(笑)。

テロリストたちの陰謀は、実は世界的な規模で広がっているのだけど
相葉たち二人の前に現れるのは銀髪の男ひとりだけ。しかも視点も
二人に固定されているので、いまひとつ危機感が盛り上がらない。

だから読者としての私は、世界がどうなってしまうのかよりも
主役二人の抱えた経済的苦境がどうなるのかの方が心配だったりする。

もちろんエンタメであるから、最終的には
テロリストたちの野望は阻まれ、世界も二人も救われるのだけど、
肝心の二人の救われ方がねえ・・・
なんか終盤になって突然出てきた、異常に便利なおっさん(笑)が・・・
こういう展開は如何なものかと思う。


客観的に見れば面白い要素はたくさんあるので
楽しめる人も多いとは思うが、
うーん、私とは相性が悪かったということで・・・


伊坂幸太郎は初期の作品は何作か読んだんだけど
どうにも合わないなあと思って離れてしまった。
本作でもそれを改めて感じました。

ちなみに阿部和重さんは一冊も読んでません。スミマセン。

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コメント 3

mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-02-10 01:12) 

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-02-10 01:19) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2020-02-10 01:19) 

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