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科警研のホームズ [読書・ミステリ]


科警研のホームズ (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

科警研のホームズ (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

  • 作者: 喜多 喜久
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2018/11/06
  • メディア: 文庫
評価:★★

タイトルの「科警研」とは、科学警察研究所のこと。
警察庁の附属機関であり、全国で1カ所、千葉県柏市にある。

 似た言葉で「科捜研」(科学捜査研究所)があるけど
 こちらは都道府県警察本部の附属機関なので、
 要するに47都道府県に1つずつ存在している。

その科警研が、東京都文京区本郷に分室を設置し、
そこに3人の研修生が集められた。

北海道警で化学鑑定に携わっていた北上純也(きたかみ・じゅんや)。
埼玉県警から来た伊達洋平はデータ処理に秀で、
兵庫県警の安岡愛美(あいみ)は血液/DNA鑑定を担当していた。

彼らはここで半年間の研修をする予定なのだが、
希望して参加したわけではなく、なぜ選ばれたのか、
何を目的の研修なのかも知らされていなかった。

そしてその3人の前に現れたのが室長の土屋。
しかしこれがまた、まったくやる気を見せない。
東啓大学の准教授と兼務なのだが、ほとんど大学に行ったきり、
分室には滅多に顔を出さないし、3人への指示も全くない。

かつて土屋は科警研に所属し、目覚ましい成果を上げていたという。
多くの未解決事件の捜査に参加し、犯人特定にも貢献していた。
「科警研のホームズ」という異名までとるほどに。

しかし2年前、ある事件での鑑定ミスの責任を取る名目で辞職、
折しも恩師からのオファーがあり、東啓大の准教授として復帰した。

土屋の才能を惜しんだ科警研所長の出雲は、本郷分室を設立し、
警察へ戻る意思をさっぱり見せない土屋に、
無理矢理ながら、室長との兼職を承知させた。

3人の研修生とともに、未解決事件の謎に取り組んでもらい、
捜査への熱意を思い出してもらう。それが分室設立の目的だった。
そういう目的のために集められた3人こそ、いい面の皮である。

とまあ長々と書いてきたけど、これが本書の基本設定。
本書は4話構成で、3人の研修生が未解決事件の調査にあたり、
壁にぶち当たったところで土屋が解決に乗り出す、という流れ。

3人の研修生の仲も、最初からうまくいくわけではなく
特に出世志向の強い伊達のせいでけっこうギクシャクするのだが
それも物語が進むにつれて馴染んでいく。

分室設立の目的が明かされても、
腐らずに研修に取り組もうとするところはたいしたものだが
宮仕えの身だからねえ・・・逆らえないよね(笑)。

星の数が少ないのは、やっぱり主役の土屋のせいかなぁ。
ミステリでのホームズ役といえば、奇人変人が当たり前なんだけど
本書の土屋は、いささか影が薄いというかインパクトが少ないというか。

大学では颯爽と研究しているのかも知れないけど、
3人の研修生の前では単なる面倒くさがりにしか見えない。
私には、魅力的な探偵役とはあまり思えなかったので。

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コメント 5

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-12-07 00:16) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-12-07 00:16) 

mojo

xml_xslさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-12-07 00:17) 

mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-12-08 23:55) 

mojo

ピストンさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-12-10 22:12) 

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