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記憶にございません! [映画]


このタイトルを見て「ロッキード事件」を思い出す人は
たぶん50歳を超えてるんだろうなぁ。

1976年、戦後最大の疑獄事件が明るみに出た。
内閣総理大臣(1972年当時)・田中角栄が
アメリカの大手航空機製造・ロッキード社から
5億円の賄賂をもらっていたというものだ

それを巡って、証人として国会に召喚された実業家・小佐野賢治が
要所要所で連発したのが「記憶にございません」という言葉だった。
これ、当時の流行語になって、お笑いバラエティ番組でも使われて、
もしこの頃に「流行語大賞」があれば、ぶっちぎりで第1位だったろう。

 もっとも、実際の発言は「記憶『は』ございません」だったらしいが。

ちなみに、76年当時に私は18歳で、三谷幸喜は15歳だったので、
この発言は彼にも十分「記憶にあった」のだろう(笑)。

閑話休題。

この映画はロッキード事件とは全く関係が無い、コメディ映画だ。
共通点は総理大臣が主役、というところくらいかな。

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内閣総理大臣・黒田啓介は、私利私欲に走る悪徳政治家の見本のような男。
あちこちの女に手を出して家庭を顧みず、
妻は浮気に走り息子はグレかけていて、家庭人としても最低最悪だ。
内閣支持率も2.3%という最低記録を更新中。

 88年に消費税3%を導入した竹下総理が、あまりの不人気で
 自らの内閣支持率も3%になってしまったというのもよく言われるが、
 実際は3.9%はあったらしい(まあ五十歩百歩だが)。(by wiki)

ところが黒田は、演説中に聴衆の一人が投げた石が頭に当たり、
それが原因で10代半ば以降の記憶をすべて失ってしまう。

病院で意識を取り戻した黒田は、自らが
”史上最低の不人気総理” という地位にあることに衝撃を受ける。

しかし政治は、国会は待ってはくれない。
黒田の3人の秘書官たちは記憶をなくしたことを外部に隠したまま
政局を乗り切ろうと画策するのだが・・・


黒田総理は中井貴一。
意外にも(失礼!)素晴らしくコメディが上手いのに驚き。
小心者で善良な小市民と化してしまう記憶喪失後の黒田を好演してる。
ミキプルーンのCMで片鱗を見せていたコメディパワーを全開だ。

総理秘書官を演じる小池栄子がまたいい。
今回、コメディも達者にこなしてるんだけど、それ以上に
ストーリー展開のキーパースンとして重要な役どころになってる。

最初は記憶をなくした黒田を必死にフォローするので精一杯なんだが
彼の中に潜んでいた ”善良なもの” に気づいてからは
積極的に支えるようになっていく。

記憶を失ったことで、すべてのしがらみから解放された今だからこそ
できることがあるのではないか・・・

彼女のこの言葉を聞いてから、黒田は変わり始める。
政治家としても家庭人としても、すべてをリセットして
自分の ”理想” とする政治を、そして人生を目指して踏み出していく。

三谷幸喜の脚本がまたよくできていて
この新生・黒田が、”謎の突破力” を発揮して(笑)、
周囲を変えていくくだりを面白おかしく見せていく。

そんな黒田の前に立ちはだかる最大の敵は、
日本の政治を実質的に牛耳っている鶴丸官房長官。
演じるは草刈正雄。「真田丸」「なつぞら」と人気作が続くが
今回も曲者ながら、なかなかお茶目な面を見せる。

それ以外にも、豪華な配役が目白押し。
秘書官のディーン・フジオカ、総理夫人の石田ゆり子、
官邸料理人の斉藤由貴、SP役の藤本隆宏。
このあたりはもう堅実というか、
しっかり脇を固めていて物語を盛り上げていく。
悪徳フリーライター役の佐藤浩市の
女装が拝めるのも三谷映画だからだろう。

アメリカ初の日系女性大統領という設定の
木村佳乃の怪演ぶり(笑)もいい。
けっこう英語が達者なので驚いたが、
wikiでみたら大学は英文科だったんだね。

野党の女性党首役の吉田羊もなかなかぶっとんだ演技を見せる。
これは笑わせてもらった。詳細は映画館で見てほしい。

警官役の田中圭は出番は少ないが印象に残る。
なかなか可愛いキャラで、「おっさんずラブ」で人気爆発したのも
このおかげかも知れないね。

投石して黒田を記憶喪失に追いやった大工を演じたのは寺島進。
もう画面に映った瞬間から観客は笑ってしまう。

あと、黒田の小学校時代の恩師役で山口崇が出てた。
最初分からなかっただけど、最後の配役紹介で分かった。
いやあ、往年の二枚目俳優だったよねえ。
「天下御免」の平賀源内とか「大岡越前」の徳川吉宗とか言っても
知ってる人はもう少ないだろうなあ・・・
御年82歳。さすがに老けたけど、いい感じに年を重ねてると思う。

深夜ニュースの女性キャスターがまたスゴイ。厚化粧バッチリで
アンミカとLiLiCoを足して2で割ったみたいなキャラ(笑)なんだけど
演じてる人を知って「どひゃあ!」。
これも映画館で見てほしいなぁ。そしてこの人には是非、
このメイクでニュース番組をやってほしいものだ。

コメディ映画なんだけど、笑わせるだけではない。
ところどころほろりとさせるし、
黒田が国会で ”演説” するクライマックス・シーンでは
涙腺が崩壊してしまったよ。いやあ、三谷幸喜は上手いなあ。

2時間7分の映画だが、値段分は十分に楽しませてもらったと思う。

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mojo

xml_xslさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-09-19 23:39) 

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-09-19 23:39) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-09-19 23:39) 

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