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天冥の標 II 救世群 [読書・SF]

天冥の標 2 救世群 (ハヤカワ文庫JA)

天冥の標 2 救世群 (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 小川 一水
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/03/05
  • メディア: 文庫
2009年9月から文庫書き下ろしの形で刊行が始まった、
作者渾身の大河SFシリーズ、その第2部。

第1部では、西暦2803年に人類の植民星「メニー・メニー・シープ」
で起こった内乱を描き、意外なところというか
「えーっ、ここで終わりぃ?」ってところで終わってしまったのだが
この第2部ではその続きではなく、21世紀の地球へと時計の針を巻き戻し
現代から2803年へと続く ”未来史” の最初の部分を描いている。


西暦201X年、ミクロネシアで謎の疫病が発生する。
国立感染症研究所の医師、児玉圭伍と矢来(やらい)華菜子は
ミクロネシアのパラオ島へ向かう。

しかし二人を含めた国際医療チームによる懸命の治療にもかかわらず、
この感染症の致死率は95%を超え、発症者は次々と命を落としていく。

そんな中、日本人の少女・檜澤千茅(あいざわ・ちかや)は
命を取り留めるが、現在の医学では
患者の体内に残ったウイルスを根絶することはできず、
しかも第三者への感染力も失っていなかった。

この感染症はのちに ”冥王斑” と名付けられることになる。

保菌者となった千茅は日本へと移送され、完全隔離のもとで
生活を始めるのだが、冥王斑は着々と感染を広げつつあった・・・


後半になると、冥王斑のパンデミックはいよいよ深刻さを増してゆく。
人類社会も次第に恐怖感に覆われてゆき、冥王斑保菌者への差別も始まる。

さらに、冥王斑ウイルスは地球外生命体によって
もたらされた可能性が浮上してくるのだが、
このあたりの真相は続巻の展開を待たなければならない。

そしてタイトルにある ”救世群” は、ある団体の名称なのだが
この成立までが語られて第2部は終わる。


致死性ウイルスのパンデミックといえば、真っ先に思い浮かぶのは
「復活の日」(小松左京)で、あちらではそれこそ人類は滅亡寸前まで
追い込まれてしまうが(というか生存者数が3桁とかすごすぎる)
さすがに本書では人類滅亡までは至らない。

とはいっても、これ以後の冥王斑は人類にとりついた宿痾となる。

私は現在、「第5部 羊と猿と百掬の銀河」まで読了してるんだけど
2340年代になっても、冥王斑は物語の中で大きな比重を占めている。

第6部以降の未来で、いつの日か冥王斑が克服されるのか、
それをもたらした存在と人類はいかに対峙するのか。

もちろん冥王斑だけがこのシリーズのテーマではなく、
大河物語を形成するピースの一つに過ぎない。

 もっとも、けっこう大きいピースではあるのだろうけどね

まだまだ興味は尽きないので、続きを読むのが楽しみだ。

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コメント 4

mojo

xml_xslさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-08-26 23:58) 

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-08-26 23:58) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-08-26 23:59) 

mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-09-02 21:45) 

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