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「階段島」シリーズ 全6巻 [読書・ファンタジー]


いなくなれ、群青 (新潮文庫nex)

いなくなれ、群青 (新潮文庫nex)

  • 作者: 河野 裕
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2014/08/28
  • メディア: 文庫
その白さえ嘘だとしても (新潮文庫nex)

その白さえ嘘だとしても (新潮文庫nex)

  • 作者: 河野 裕
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/05/28
  • メディア: 文庫
汚れた赤を恋と呼ぶんだ (新潮文庫nex)

汚れた赤を恋と呼ぶんだ (新潮文庫nex)

  • 作者: 河野 裕
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/12/23
  • メディア: 文庫
凶器は壊れた黒の叫び (新潮文庫nex)

凶器は壊れた黒の叫び (新潮文庫nex)

  • 作者: 河野 裕
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/10/28
  • メディア: 文庫
夜空の呪いに色はない (新潮文庫nex)

夜空の呪いに色はない (新潮文庫nex)

  • 作者: 河野 裕
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2018/02/28
  • メディア: 文庫
きみの世界に、青が鳴る (新潮文庫nex)

きみの世界に、青が鳴る (新潮文庫nex)

  • 作者: 河野 裕
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/04/26
  • メディア: 文庫
評価:★★

2014年から、ほぼ年1冊のペースで刊行されてきたシリーズが
今年の4月末に最終巻が出て完結した。

そのうちまとめて読もうと思っていたんだが
9月には「いなくなれ、純情」というタイトルで
映画化されるとの情報が入ったので
その前に6冊まとめて読むことにしたという次第。


舞台となるのがシリーズ名にもなっている「階段島」。

文字通りどこかの海に浮かぶ島で、島のなかに長い階段がある。
港に近い街からはじまり、途中に学校(中高併設)があり、
さらに島の最高部(山頂)にまで続いている。
そこには「魔女の館」があると噂されているが、
なぜか頂上まで行き着いた者はいないという。

この島は外部に対して閉ざされている。
携帯電話の電波は届かず、インターネットは閲覧のみ可能で
メールの送受信は不可能。でも通販の注文は可能なようで
生活に必要な物資とともに、定期的に島にやってくる貨物船で届く。
しかし、その船に乗って島から出ることはできない。
過去に何人か密航しようとしたがことごとく失敗したという。

島には2000人ほどが暮らしているが、
みんな島に来たときの記憶を持っていない。
ある日気がつくと、この「階段島」にいたというわけだ。

それでも、大きな混乱もなく、みな平穏に暮らしている。
中学生・高校生は寮から学校へ通い、
大人は街で仕事をして生きている。

この島で暮らす人々の間では、次のような噂が流布している。
ここは ”捨てられた人間” が行き着く場所で
”失くしたもの” を見つける以外に島を出る方法はない・・・


読んでいくと、この島は一種の ”異世界” で、
”現実世界” とは別の時空に存在しているのがわかってくる。
日本政府の極秘管理エリアとか、
宇宙人迎撃のための秘密基地とか、そんな物騒なもの(笑)ではない。

この世界の正体は、シリーズ中ではかなり早めに明らかになるのだけど
設定的には「ファンタジー」といっていい。


主人公は高校1年生の七草(ななくさ)。
彼は8月の終わりにこの島へ ”やって来た”。

そして11月の終わり、一人の少女が島へ ”現れる”。
彼女の名は真辺由宇(まなべ・ゆう)。
小学校の頃からの七草の幼なじみで
中学2年のときに転校していった。
(第1巻表紙イラストのセーラー服の少女が由宇)
2年ぶりの二人の再会からこの物語は始まる。

島の高校に通っていた七草は、
快活なゲームフリークの佐々岡、寡黙な少女・堀、
優等生で委員長の水谷という、
クラスメイトたちと平穏な日々を送っていた。

しかし由宇の出現は、七草の生活に波紋を広げていく。

さらに、小学2年生の相原大地が ”やって来た” ことも
七草たちを戸惑わせる。
この島に来る人々は皆、中学生以上の年齢で小学生が来ることは
今までなかったのだから。
この ”イレギュラー” はなぜ起こったのか?
彼はなぜこの島にやってきたのか?

この二人に加え、中盤以降には安達(あだち)という
”謎めいた少女” が現れ、物語の波乱要素になっていく。


文庫裏表紙の惹句には「心を穿つ青春ミステリ」なんて書いてあるが
ミステリ要素は極めて希薄で、事件らしい事件もほとんど起こらない。

もっとも大きな変化は、登場人物間の関係だろう。

七草は由宇たちとともに、島に秘められた謎や
大地の抱えた事情などに関わっていくことになる。
そんな中、七草は由宇との関係をしばしば自分に問うことになる。


本シリーズを読んでいて、いちばん感じたことは
「よくわからないなぁ・・・」ということだった。

島の秘密や大地の境遇などはそれなりに理解できるのだけど
七草・由宇・堀・安達たちメインキャラの頭の中が
さっぱり分からない(笑)。

いや、分かったかな、と思うときもあるのだけど
読んでいくうちにまた分からなくなる。

本書に登場する彼ら彼女らは、人間が子どもから大人になるときに、
盛大に脱ぎ散らかしてしまうもろもろを
一つも捨てずに大事に抱えている人たちばかり。

会話自体も観念的な事柄が多くて・・・
まあ、そんなキャラたちが生活できる場所として
この島を設定したんだろうけどね・・・


七草と由宇のラブストーリーとしてみても、よくわからない。
完璧主義者の七草が由宇に抱くのは「信仰」で、
理想主義者の由宇が七草に抱くのは「信頼」で。
(このへんはなかなか一言では説明できないんだが)

まあ、そういうところが「恋」であり「愛」なんだろうけど
当事者たちがそう思ってないところがいちばんの問題か。
見ようによっては「一途な純愛」といえなくもないんだけど
こんなに回りくどいのは読んでいて疲れる。

 まあ由宇さんの性格が、およそ恋愛向きではないというか、
 いかにも世渡りが下手というか(理想が高すぎるという意味です)。
 そのへんが原因ですかね。

 最終巻のエピローグまで読むと、
 どうやら七草も由宇も ”大人” になったのかも知れないな・・・
 って思えましたけど。

結局、最後まで彼ら彼女らの頭の中はよく分かりませんでした。
もっとも、「青春」というもの自体、よく分からないもの(笑)なので
仕方がないと言えばそれまでなのですが。


まあ、感性の鈍ったオジさんのたわ言なので聞き流してください。
若い人にはまた違った感想もあるのでしょう・・・

nice!(4)  コメント(4) 
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コメント 4

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-07-25 22:54) 

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-07-25 22:54) 

mojo

xml_xslさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-07-25 22:54) 

mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-07-27 23:01) 

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