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キングを探せ [読書・ミステリ]


キングを探せ (講談社文庫)

キングを探せ (講談社文庫)

  • 作者: 法月 綸太郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/09/15
  • メディア: 文庫
評価:★★★☆

名探偵・法月綸太郞シリーズの一編。
発表当時、さまざまなミステリ・ベストテンに
上位でランクインした作品でもある。


今回のテーマは交換殺人。それも、一対一の交換なんぞではなく、
なんと四重交換という ”荒技” が描かれる。

繁華街のカラオケボックスに集まった4人の男。
お互いを「夢の島」「イクル君」「カネゴン」「りさぴょん」という
ニックネームで呼び合う彼らは、
交換殺人の計画を詰めるために集まったのだ。

 彼らがどういう経緯で知り合ったのかも、ちゃんと説明される。

4人はトランプのカードをくじ代わりに引いて、
それぞれが ”担当するターゲット” と、
”実行する順番” を決めて別れる。

 タイトルの「キングを探せ」はここからきている。


メンバーの一人「夢の島」は、再婚した妻・妃名子(ひなこ)を
殺してもらう予定だった。彼女は結婚後にうつ病を発症、
自分には生きる価値がないと思い込み、いつ自殺しておかしくない
”希死念慮(きしねんりょ)” という状態に陥っていた。
しかし、いま自殺されては生命保険金が下りない。
そこで自殺する前に殺してもらおうというわけだ。

カードのくじ引きの結果、実行犯1号と決まった「夢の島」は
遺産相続を目論む「イクル君」の伯父・安斎秋則の殺害を実行する。

続いて妃名子の絞殺死体が発見され、
夫の渡辺清志(つまり彼が「夢の島」であるわけだ)が
容疑に浮かぶが、アリバイが成立して容疑から逃れる。


一方、殺人事件に追われる法月警視と綸太郞は
さまざまな仮説/推理を立てていくが
最初のうちは多重交換殺人なんて発想そのものがないから
かなりの迷走をしていく。

しかし、さすがに綸太郞はそのままでは終わらない。
やがて、渡辺清志が目論んだ保険金代理殺人ではないか、
という切り口から、次第に実行犯に迫っていく。

当然、犯人側も自分たちの計画がバレつつあるのを察知する。
そして捜査の方向をそらすために、意外な ”行動” に打って出る。
もちろんその裏には巧みな ”詐術” が隠されているわけで・・・

そしてもちろん、それを受けて立つのは名探偵・法月綸太郞。

このあたりは紹介が難しい。かなり込み入っているのだけど
おそらく作者が最も注力した部分で、本作の目玉でもあるので
興味を覚えた人はぜひ読んで確かめてください。


この作品は、最初から犯人が分かっているわけで
(当然、読者も犯人を知っているから)
一種の倒叙もののように始まるのだけど
中盤からは犯人側と探偵側の頭脳戦が始まり、
終盤では本格ミステリとして決着するという、
かなりの技巧を凝らした作品だ。

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コメント 5

mojo

はじドラさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2019-07-25 00:43) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2019-07-25 00:43) 

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2019-07-25 00:43) 

mojo

xml_xslさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2019-07-25 00:44) 

mojo

コースケさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-07-27 23:08) 

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