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世界推理短編傑作集 全5巻 [読書・ミステリ]


評価:★★★

推理小説が誕生した19世紀半ばから、最初の100年間に
発表された短編ミステリの中から、江戸川乱歩が選んだ作品を
年代順に文庫全5巻に収めてある。

ちなみに、第1巻の奥付をみると、初版が1960年。
このときには「世界短編傑作集」ってタイトルだった。
そして2015年には80版(!)。
かなりのロングセラーだったんだね。

そして今回、大幅なリニューアルを施して
タイトルも「世界推理短編傑作集」と改めて出版となった。
リニューアルの中身は訳文の見直し、収録作の一部入れ替えなど。
全部で47編を納めている。ちなみに、1作者につき1作品のみ。


世界推理短編傑作集1【新版】 (創元推理文庫)

世界推理短編傑作集1【新版】 (創元推理文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2018/07/12
  • メディア: 文庫
第1巻
1844「盗まれた手紙」エドガー・アラン・ポオ
1858「人を呪わば」ウィルキー・コリンズ
1884「安全マッチ」アントン・チェーホフ
1891「赤毛組合」アーサー・コナン・ドイル
1894「レントン館盗難事件」アーサー・モリスン
1895「医師とその妻と時計」アンナ・キャサリン・グリーン
1902「ダブリン事件」バロネス・オルツィ
1905「十三号独房の問題」ジャック・フットレル


世界推理短編傑作集2【新版】 (創元推理文庫)

世界推理短編傑作集2【新版】 (創元推理文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2018/09/12
  • メディア: 文庫
第2巻
1905「野心家組合」ロバート・バー
1909「奇妙な跡」バルドゥイン・グロラー
1910「奇妙な足音」G・K・チェスタトン
1911「赤い絹の肩掛け」モーリス・ルブラン
1911「オスカー・ブロズキー事件」オースチン・フリーマン
1912「ギルバート・マレル卿の絵」V・L・ホワイトチャーチ
1913「ブルックベンド荘の悲劇」アーネスト・ブラマ
1914「ズームドルフ事件」M・D・ポースト
1921「急行列車内の謎」F・W・クロフツ


世界推理短編傑作集3【新版】 (創元推理文庫)

世界推理短編傑作集3【新版】 (創元推理文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2018/12/20
  • メディア: 文庫
第3巻
1921「三死人」イーデン・フィルポッツ
1924「堕天使の冒険」パーシヴァル・ワイルド
1924「夜鶯荘」アガサ・クリスティ
1925「茶の葉」E・ジェブスン&R・ユーステス
1926「キプロスの蜂」アントニー・ウィン
1926「イギリス製濾過器」C・E・ベックホファー・ロバーツ
1927「殺人者」アーネスト・ヘミングウェイ
1928「窓のふくろう」G・D・H&M・I・コール
1928「完全犯罪」ベン・レイ・レドマン
1929「偶然の審判」アントニー・バークリー


世界推理短編傑作集4【新版】 (創元推理文庫)

世界推理短編傑作集4【新版】 (創元推理文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2019/02/12
  • メディア: 文庫
第4巻
1929「オッターモール氏の手」トマス・バーク
1930「信・望・愛」アーヴィン・S・コッブ
1931「密室の行者」ロナルド・A・ノックス
1932「スペードという男」ダシール・ハメット
1932「二壜のソース」ロード・ダンセイニ
1932「銀の仮面」ヒュー・ウォルボール
1933「疑惑」ドロシー・L・セイヤーズ
1934「いかれたお茶会の冒険」エラリー・クイーン
1935「黄色いなめくじ」H・C・ベイリー


世界推理短編傑作集5【新版】 (創元推理文庫)

世界推理短編傑作集5【新版】 (創元推理文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2019/04/24
  • メディア: 文庫
第5巻
1936「ボーダーライン事件」マージェリー・アリンガム
1937「好打」E・C・ベントリー
1939「いかさま賭博」レスリー・チャーテリス
1939「クリスマスに帰る」ジョン・コリアー
1941「爪」ウィリアム・アイリッシュ
1942「ある殺人者の肖像」Q・パトリック
1943「十五人の殺人者たち」ベン・ヘクト
1945「危険な連中」フレドリック・ブラウン
1946「証拠のかわりに」レックス・スタウト
1947「妖魔の森の家」カーター・ディクスン
1951「悪夢」デイヴィッド・C・クック

「黄金の二十」エラリー・クイーン

最後の「黄金ー」はミステリではなく、クイーンが
”最も重要なミステリ” として、10冊の短編集と
10作の長編を挙げて紹介しているもの。

全5巻の収録作を眺めてみると、
誰もが知る有名作家さんや有名な古典的名作もあれば
初めて見る作家さんもいる。
意外な人がミステリを書いてたり、
名前は知ってるけど読んだことない作家さんも。
作品名は知ってるけど未読だったりといろいろ。
でも、作者も作品も本書で初見だった、
ってのが一番多かったかな。


実は、たぶん大学の頃、旧版の「世界短編傑作集」を
読み始めたことがあったのだけど、途中で挫折したことがある。
今から思えば、なんとなく理由が分かる。

歴史的に重要な作品、エポックメイキングな作品であっても
それがイコール ”(私にとって)面白い作品” だとは限らない、
ってことだ(当たり前のことなんだけど)。
もちろん発表された当時は話題になって、評価も高かったのだろうけど。

発表時にはセンセーショナルなネタ/オチであっても、
20世紀後半~現代までの間には、フィクションを超えた
突拍子もない事件も多数発生していて、
今になって読んでみたら、さほどインパクトを感じない、
って作品が本シリーズの中には散見する。

あと、作品よりもトリックのほうが有名、なんてことがある。
ミステリを何十年も読んでいれば作品自体は未読でも、
いや作品名さえ知らなくても、
古典作品には ”あんなトリック” や ”こんなトリック” が
あるという ”知識” だけ入ってくることがある。

実際、このアンソロジー・シリーズを読んでいて
「あのトリックはこの作品のネタだったのか!」
という体験も少なからず味わった。

もちろん、後発作品が古典と同じトリック/ネタを使っていて、
後発作品の方を先に読んでいたために、同じオチの古典を読んでも
さほど驚かなかった、てこともあるだろう。

 それでも、「このネタはこんな昔に生まれたんだ」
 って知ることは出来るけどね

まあ、このあたりは作品のせいではないよね。
時代を超えて評価の揺るがない作品もあれば
時代によって評価の変わる作品もある。
そういうことなんだろう。

すべてのミステリを時代順に読むことは出来ないんだから、
ある程度は仕方がないのかも知れない。

これから本格的にミステリを読み始めよう、って人にはオススメかな。
手頃な海外ミステリの入門書になるだろうと思う。
この中で気に入った作者から読んでいけばいいんじゃないかな。

40年前の私はくじけたけど(笑)、がんばってください(おいおい)。


もっとも、日本であまり紹介されてないマイナーな作家さんの場合、
本書収録作以外の作品が見つからなかったりして(笑)。

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コメント 4

mojo

xml_xslさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-07-18 22:24) 

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-07-18 22:24) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-07-18 22:24) 

mojo

コースケさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2019-07-20 23:03) 

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